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映画『パッセンジャー』は日本では2017年に公開されたアメリカのSF映画作品です。
主演をジェニファー・ローレンスとクリス・プラットが務め、脇をマイケル・シーンやローレンス・フィッシュバーンが固めています。
目的地の惑星まで辿り着くのに120年かかる宇宙船アヴァロン号における孤独な男女の愛が物語の主軸です。
到着予定より90年も早く冬眠から目覚めた2人はその孤独に絶望しながらも惹かれ合っていきます。
絶望的な状況の中で泥沼化していく2人の関係はどんどんあらぬ方向へと転がってしまうのです。
本稿ではラストのジムとオーロラの愛の行方をネタバレ込みで考察していきます。
また、オーロラが冬眠を拒んだ理由やジムが育てた木々に込めた思いも併せて読み解きましょう、
愛とホラーは紙一重
本作は表面上こそSFラブストーリーという体裁を取っていますが、中身は非常に恐ろしい作品です。
というのも、ジムの取っている行動が客観的に見てみると実は全部ホラーじみています。
孤独が嫌だからオーロラを目覚めさせ、スウィートルームまで勝手に自室に改造するのです。
挙句の果て自分のした罪で嫌われると、今度は彼女に人工冬眠するかどうかを提案します。
そう、ジムはやることが余りにも天才かつ合理的過ぎて周りの気持ちを完全に無視しているのです。
そんな根本の行動が破天荒過ぎてホラーになる天才ジムがラストでそれらを全て愛に変えてしまいます。
その奇跡のような逆転劇がどのようにして可能となったのかを本題に沿って見ていきましょう。
ラストの2人の行方
物語の終盤、ジムとオーロラは宇宙船壊滅の危機を何とか乗り越え、愛で結ばれました。
そこから時間は88年後へ飛び、宇宙船内にはジムが植えた木があったのです。
ここから想像されるジムとオーロラの行方について考察していきましょう。
末永く幸せに
結論からいえば、ジムとオーロラは末永く幸せに暮らしたことが示されています。
その証拠にジムの夢であったマイホームと残された記録で人々は真実を知りました。
この結末だけを見ると確かにハッピーエンドで、それまでの後ろめたさが微塵もありません。
もう既に他界こそしているでしょうが、存在そのものが英雄となったのではないでしょうか。
しかし、この結末は最初から志向されたものではなかったのです。
知られざるもう1つの結末
実はここで没案となってしまった知られざるもう1つの結末があったのは有名な話です。
当初の脚本構想ではジムとオーロラ以外は全員死亡という凄惨な結末になる予定でした。
それだと余りにも惨たらしく救いがないとのことでこの結末へと変更されたのだとか。
この結末は賛否両論で、ジムを余りにも美化しすぎだとの批判もありました。
しかし、この結末は決してご都合主義でも何でもなく必然で導かれたものです。
善人は歴史に名を残せない
やることなすことが根本的に悪であった筈のジムの行動が何故ラストで善となったのか?
それは彼が天才だったからであり、宇宙船を救ったのもあくまで結果論でしかありません。