出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B08CCYWSLJ/?tag=cinema-notes-22
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館』は、007シリーズでも人気のダニエル・クレイグが個性的な探偵役を演じたミステリー映画です。
現代を舞台に繰り広げられる殺人事件の謎解きは、アガサ・クリスティー作品のようなレトロさを感じさせるのが魅力。
ハーランの死の真相に驚かされながらブランが雇われた理由に迫るストーリーには、復讐劇などからは感じられない面白さがあります。
今回は、ミステリーファンに捧げられた本作の中からマルタを相続人にした理由を考察。
スニーカーの血痕の意味にも注目しながら作品の魅力に迫っていきます。
遺産の相続人をマルタにした理由は
マルタとハーランの関係は、看護師と85歳の老人です。
しかし、人と人との繋がりは立場という関係だけでは表せないものがあるのでしょう。
ハーランは常に真っ直ぐな心で自分と向き合うマルタを大切に思っていました。
それこそ、多くの問題を抱えハーランの資産を狙う家族よりもマルタを可愛く思っていたのです。
家庭のいざこざとは関係のない人物。年老いた自分の一番の友人。
そう感じたからこそ、ハーランはマルタを自分の遺産の相続人に選んだのでしょう。
ウソを付けない女性
ストーリーの中核を担うマルタ・カブレラ(アナ・デ・アルマス)は、ウソをつくと吐いてしまう特殊な体質をしていました。
ウソを付けない人間というのは、素直で純粋な心を持った人間だったのでしょう。
ハーランの死に関するウソはつくものの、マルタは常に周囲を気にする優しさを持ち合わせていました。
ハーランとマルタの関係
ミステリー作家であるハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)は85歳という老人です。
看護師であるマルタとは孫ほども年が離れていましたが、2人の間には友情関係が成立していました。
毎晩のように行われる囲碁の時間は2人の距離を近づけ、家族以上に気の置ける関係にしていったのです。
ハーランの気持ち
今まで生きてきた中で初めて正気になったのさ
引用:ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館/配給会社:ロングライド
孫のランサム(クリス・エヴァンス)に対してこう答えたハーランは、家族よりも誰よりもマルタを愛していたと考えられます。
それが家族愛なのか、恋という気持ちなのかは計り知れません。
ウソをつくだけで吐いてしまうマルタはとても真っ直ぐで優しい心を持った女性です。
彼女の優しさは、自分を脅した家政婦のフランを助けようとしたことからも推測できます。
真っ直ぐにハーランと接するマルタは、家族の問題に疲れた彼の心をほぐしていったのでしょう。
彼に致死量のモルヒネを打った時でさえ、ハーランは自分よりも彼女の心配をしていました。
彼女のことを愛おしく大切だと思ったからこそ、彼は自分で築き上げた全てを彼女に残そうと決めたのです。