現代ならば「あなたを愛しています」と直訳できますが、いささかストレートすぎる印象も受けます。
ストレートな表現を避けて愛を伝えたいという気持ちがちえにはあったのではないでしょうか。
月が夫婦の理想の形を意味する
さらに月が理想の夫婦の形を意味していると考えられないでしょうか。
お互いに足りないところや至らないところがあっても、補い合えばきれいな満月のような丸になります。
「月がきれい」という状態はお互いが補い、助け合っている夫婦の理想の状態とちえは考えているのでしょう。
はんぶんこしたアイスモナカも2人で補い合い、理想的な夫婦になることを意味するエピソードではないでしょうか。
月へ亡くした母親への想いを馳せる
亡くしてしまった最愛の人を人間は星や雲、月に重ねて想いを馳せます。
ちえは大好きだった母親を月を見て想っているのではないでしょうか。
月がきれいな状態は、ちえが結婚して幸せであると母親に伝えていると考えられます。
個性豊かな製作陣による痛快な作品
本作にはコメディな内容からドラマチックな展開までが盛り込まれています。
そこには個性豊かなキャストや監督の経験や実力が大きく関わっているといえるでしょう。
コメディからシリアスまで演じ分ける安田顕
特筆すべきは夫である加賀美じゅんを演じるのは安田顕の演技です。
もともとはTEAM NACSという演劇集団に所属し、地元北海道のバラエティにも出演していました。
その時のコメディ感覚が本作とマッチしているのではないでしょうか。
また、2015年からは大ヒットドラマ、下町ロケットにも出演。お茶の間までその名が知れ渡りました。
そのドラマでのシリアスな演技も本作へと繋がっているのではないでしょうか。
李闘士男監督のコメディ映画
本作を監督した李闘士男はテレビディレクターやドラマの演出家としても仕事をしています。
バラエティー番組も数多く手がけ「とんねるずのみなさんのおかげです」なども携わってきました。
本作のコントのような死んだふりの掛け合いはバラエティーの演出経験が活かされていると考えられます。
また「デトロイト・メタル・シティ」も監督し、大ヒットさせている実績と経験も本作に活きているのではないでしょうか。
対象的に描かれた2組の夫婦
映画の中で対象的に描かれていた加賀美夫妻と佐野夫妻。物語も2組を中心に展開していきました。
ここにも本作に込められたメッセージがあるのではないでしょうか。
夫婦の形は千差万別
1人として同じ人間がいないように、1つとして同じ夫婦の形は存在しません。
2人の距離感や共有できる時間や趣味、お互いの好きなものから嫌いなものまで様々です。
さらに抱えている問題も異なれば、解決に向かう方法も異なります。
加賀美夫妻も佐野夫妻も死んだふりや子供ができないことなど問題を抱えていました。