さりとて、自身の弱さを受け入れてそれを告白することが出来る程の素直さ・殊勝さもありません。

彼が如何に弱い人であるかがこのシーンで改めて強調されています。

リディアに押しつけた

2つ目に上記したように次女リディアがアリスのことを見てくれる後見人となってくれたからです。

しかし、これは喜ばしいことではなくジョンは転勤を口実にアリスを娘に押しつけたことになります。

罪悪感はありながらも、それ以上に体の良い厄介払いが出来たという嬉しさが勝っているのでしょう。

転勤なのは仕方ないとしても何故娘がアリスの介護をしなければならないのでしょうか?

善人ぶっておきながら自分のことしか考えていない偽善者だからに他なりません。

逆にいうとジョンが物凄く人間味の希薄な人であることがこの転勤から分かります。

2兎を追う者は1兎をも得ず

とはいえ、ジョンもそれは承知の上で敢えて仕事の方を選んだのではないでしょうか。

もし中途半端にアリスの面倒を見ることを選んだら、それこそ仕事にも支障が出かねません。

やはりジョンは仕事があってこそ父であり夫であることが出来るのです。

その本分を履き違えてしまえば大業も挫折してしまうかもしれません。

2兎を追う者は1兎をも得ずというもので、だからこそ仕事を優先したのでしょう。

何かを得るためには何かを捨てなければならない、それがジョンの場合仕事とアリスだったのです。

家族も所詮は赤の他人

夫婦という他人 (講談社+α新書)

本作で示されていることは詰まるところ「家族も所詮は赤の他人」ではないでしょうか。

表面上何事もなく上手く行っていた家族がアリスの病気1つで簡単に崩れ去ってしまうのです。

これは絆がどんどん希薄化して有難味が感じられない現代の家族への揶揄・皮肉でしょう。

ましてや大人になればそれぞれがそれぞれの生活を持ち始め一緒にいることは難しくなります。

だからアリスの家庭はそう遠くない将来自然に散り散りになっていたものと思われます。

若年性アルツハイマー病がその引き金になっただけのことです。

しかし、どんな形であれ家族とは最終的に解体されていくものであることは間違いありません。

ネガティブシミュレーションは大事

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

本作が伝えてくれていることはネガティブシミュレーションの大切さです。

アリスの若年性アルツハイマー病自体は決して珍しい病気でも何でもありません。

他にも治療法のない難病など世の中には幾らでもあります。

しかし、いざ降りかかると人や周りの家族はなんだかんだ嫌悪し本性が出てしまうものです。

リディアだけがしっかり受け止め残りの者は無関心か腫れ物扱いという対応の酷さがそれでしょう。

普段からネガティブシミュレーションをしておかないからいざという時に狼狽えるのです。

身内が難病にかかった時どのように受け止めどのように対応するべきなのか?

決して他人事ではない難病への向き合い方を受け手にしっかり考えさせる名作でした。

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