温かい作風の裏に仕込まれている毒の部分が改めて見えるようになっています。

しかしそれを悲しいことではなくごく当たり前の日常として描かれているのが何とも粋な演出です。

病気が家族に与えた影響

読めば気持ちがす~っと軽くなる 本人・家族に優しい統合失調症のお話 ココロの健康シリーズ

アリスの若年性アルツハイマー病は彼女の家族に様々な影響を与えました。

その結果としてラストではリディア以外に誰も寄り添ってくれる人は居なくなったのです。

ここではリディア以外の家族も含め病気が家族に与えた影響を読み解いていきましょう。

病気発症を恐れるアナ

絵でわかる遺伝子治療 (KS絵でわかるシリーズ)

まず1つ目には若年性アルツハイマー病の遺伝子が受け継がれているアナです。

彼女は人工授精を予定していながら、同時に母と同じ病気が発症することを恐れていました。

無事出産こそしたものの、自分もアリスのようになってしまうのではないかと思ったのです。

客観的に見ればアリスに対して失礼な対応ですが、現実は中々上手く行きません。

そしてそんな彼女の不安や戸惑いは家族の他の人たちにも波及していきます。

現実を直視出来ないジョン

2つ目に劇中で1番その煽りを食らったのが他ならぬ夫のジョンでした。

彼は情けないことに献身的に介護しつつも、現実を受け入れることが出来ない程弱い人です。

その弱さを仕事に打ち込むことで誤魔化しており、終盤では転勤を目って口論までしました。

アナと違って先天的な病気の遺伝子はないのに、悲劇の主人公のようにして狼狽えるだけでした。

そういう意味では本作において1番タチの悪い人として描かれているのではないでしょうか。

表面上思いやりがあるように見せておいて、その実及び腰で逃げ回っているのですから。

それはジョンとアリスの関係が上辺でしかなかったことの裏返しでもあります。

無関心を貫くトム

そして劇中で最も影響が少なかったのはほぼ無関心を貫いていたトムではないでしょうか。

彼はアリスの病気を知る前も知った後も最後まで私事を優先していたのです。

1番冷たく見えますが、人間性は希薄ではなく母の講演を聴いて感動する人並の心はあります。

家族の絆とは最も遠い所にいて自分の世界観を確立している強い人でしょう。

中途半端に優しいながら逃げ腰のジョンとはそこが決定的に異なっている所です。

このように1人1人病気を受けての反応や距離感の書き分けに細かい気配りが窺えます。

ジョンがアリスを残して転勤した理由

転勤族の妻たち (講談社文庫)

上述したようにアリスの病気で1番影響を受けたジョンはアリスを残して転勤しました。

その決断は余りにも残酷で、彼女に睡眠薬を飲んでの自殺まで決意させた程です。

そこまでさせておき、罪悪感までありながらアリスを残して転勤した理由は何でしょうか?

弱い人だから

メンタルが弱い人ほど人生が楽しくなる

前述したように根本の原因はジョンが現実を受け止めきれない弱い人だからです。

家庭よりも仕事を優先したように見えますが、アリスを連れて行かない合理的な理由はありません。

実際に1度は彼女を連れて行って介護しようと考えたのに、結局考えただけで実行はしないのです。

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