出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B06XHWYYLR/?tag=cinema-notes-22
伊坂幸太郎の同名小説を映画化した『 Sweet Rain死神の精度』は、全6短編のうち3編を起用しています。
死神という重いフレーズを軽やかに扱い、死の判断基準を探訪していく死神の姿が描かれています。
千葉はなぜ1人しか「見送り」にしなかったのでしょう。
また死にゆくかずえが最後に笑った理由を徹底考察していきます。
劇中に描かれた死神はどこか滑稽で人間味も持ち合わせていましたが、彼らが音楽を愛する真意とは一体何でしょう。
金城武演じる千葉の表情に秘められた想いを紐解いていきます。
なぜ一人しか「見送り」にしなかったのか
千葉はこれまで「実行」の判定しか下してきませんでした。
そんな彼がなぜ藤木一恵に対して「見送り」の判定をしたのでしょう。
この何気ない決断が、後に千葉の価値観を大きく変えることになります。
ミュージックが好きだから
一恵に「見送り」の判定を下したのは、彼女の完成された歌を聴きたかったからでしょう。
彼女が歌手になるという未来と出会う前は、いつもの如く「実行」の決断だったのです。
一恵を生かしておけば、いつか自分が彼女の歌を聴くことが出来る、という自己的なものでしょう。
ミュージックは人間の最大の発明だ
引用:死神の精度/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
千葉が音楽好きだったからこそ、一恵の命が助かったといえます。
一恵の側には音楽があったのです。
音楽プロデューサーの出現で「見送り」
一恵の命は音楽プロデューサーが救ったともいえるのではないでしょうか。
もしくは、かずえの持っていた声が本物の声だったから、彼女は見送りにされたのです。
惚れた?
まさか
引用:死神の精度/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
黒い犬とのやり取りで、恋愛感情は否定していました。
おそらく千葉には人を好きになる、ということが何なのかよくわからなかったのではないでしょうか。
目的を果たしていないから
千葉は「見送り」の理由を下記のように答えています。
彼女はまだ目的をはたしていない
引用:死神の精度/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
死が目前だった彼女ですが、突然歌手になるという目的が出来たのです。
このことも、千葉の判定に影響を与えていたのでしょう。
もしも歌手ではなく他の職業だったら、一恵は「実行」の判定を受けていたはずです。
実行にする「目的を果たした」とは
一恵のみを「見送り」にした千葉ですが、では他の人にはなぜ「実行」の判定を出すのでしょう。
10歳の子供にも死を与えていた
お前はいつも「実行」じゃないか
結局は死なすんだろ
引用:死神の精度/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
黒い犬がいうように、千葉は例え子供でも躊躇なく死の宣告をしてきたのです。
しかし彼が特別冷淡だというわけではありません。
死神とはそういう生き物なのでしょう。
死神(しにがみ)は、人間を死に誘う、または人間に死ぬ気を起こさせるとされる神
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/死神(日本)
日本で語り継がれている死神は、人を死へいざなうのが役目です。
生きる目的を果たした人間を見定めるのが役目なのでしょう。
死神の基準で見ると、冒頭の少女は10歳にして死に値する生き方を全うしたといえます。
藤田は目的を果たすことが出来た
「実行」を決めた藤田は、自分を信じ筋を通すことが出来ました。
あの男は自分の期待に応えた、目的を果たしたってことだ