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Twitterに投稿された、世紀末による4コマ漫画の実写映画版である「殺さない彼と死なない彼女」。
サンダンス映画祭において「日本映画の新鮮で革新的な監督」と呼ばれた、話題の映画監督である小林啓一が監督・脚本を務めた作品です。
また主演の間宮祥太朗・桜井日奈子による迫真の演技は多くの視聴者を感動させました。
ぎこちなくも真っ直ぐな高校生達の恋愛模様を描いた本作では、上映当初から様々な考察がされているのです。
今回は、主人公の小坂れいが鹿野ななに興味を持った理由をはじめ、映画の気になる点を考察していきます。
小坂が鹿野に興味を持った理由とは?
映画の主人公ともいえる小坂れいは、勉強やスポーツはもちろん人間関係に対しても興味を持てずに退屈していました。
しかし、校内でハチの埋葬をする鹿野ななに対して初めて興味を持つようになります。
小坂はなぜ、鹿野にのみ興味を持ったのでしょう。
ここでは、小坂が鹿野に興味をもった理由について考察していきます。
鹿野の矛盾した人間性
鹿野ななは、教室で潰されたハチの死骸を埋葬して墓を作ってあげるような、生き物の命を大切にする少女です。
しかしその反面自分の命に対しては無頓着であり、常に「死にたい」という言葉を口にしています。
誰より生を大切にしながら己の死を望むという、他の人間にはない矛盾がある鹿野だからこそ興味を持ったのでしょう。
鹿野に対する共感
小坂が鹿野に興味を持ったのには、鹿野に「自分との共通点」を無意識に感じ取ったからとも考えられます。
小坂はサッカー選手を目指していた過去がありますが、脚のケガが原因で夢を諦めなければなりませんでした。
ひたすら目指していた夢が、突然のケガによって全てが消えてしまったことで人生に失望していたといえるでしょう。
鹿野についても、クラスメイトからのいじめや変人扱い・ネガティブな思考が原因で生きることに失望しています。
このように2人には「何かに対する失望」という共通点があるのです。
ここから考えると、鹿野の「死にたい」という感情に対して小坂が共感していたからといえるでしょう。
花火を準備していた理由とは?
不器用ながらも愛情を伝え合う小坂と鹿野。
お互いの心のうちを伝えられるようになった頃、突然鹿野は準備していた花火に小坂を誘います。
ここでは、鹿野が花火を準備していた理由について考察していきましょう。
今という時間を大切にしたかった
鹿野が花火を用意したのは、小坂が大学進学についての話を鹿野にした後でした。
そのため自分とは違い、未来へ進もうとする小坂の姿を見て鹿野は無意識に置いていかれると思ったのでしょう。
自分の今後の生き死に関わらず、大好きな小坂と一緒の時間を大切にしたいと思い、花火を用意したと考えられます。
自分が生きる理由にするため
また鹿野は「死にたい」と思いつつも、心の奥では小坂と過ごす時間に幸せを見出だしていました。
一緒に肉まんを食べたり、ゲームを楽しんでいるうちに、小坂の存在自体が鹿野の生きる理由となっていたのでしょう。
しかし、将来の話をする小坂の様子から、鹿野はいつか小坂が自分から離れてしまうと思ったのです。
自分の生きる理由である小坂が離れてしまうのは、鹿野にとってはたまらなく恐ろしいことといえるでしょう。
そのためあえて湿気った花火を用意することで、小坂との花火という生きる理由を作りたかったと考えられます。
告白を続ける意味とは?
八千代に対して何度も告白し続ける撫子。
それまで撫子が八千代に一目惚れする理由にあたる描写がなかったこともあり、告白の真意は度々考察されてきました。