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映画『メアリーの総て』は2017年に公開されたメアリー・シェリーの半生を描いた伝記映画です。
監督はハイファ・アル=マンスール、主演をエル・ファニングが務めています。
18歳でゴシック小説『フランケンシュタイン』を生み出した天才作家の人生は波乱万丈なものでした。
詩人シェリーと駆け落ちしたメアリーを待ち受けていたのは失意のどん底に落とす程のものだったのです。
本稿では青年パーシーが作者を明かす意味をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、クレアの失敗とフランケンシュタインに込めた想いも併せて読み解いていきます。
孤独のメアリー・シェリー
本作はメアリー・シェリーという作家の人となりを世に知らしめてくれるきっかけとなりました。
ゴシック小説『フランケンシュタイン』は今も尚世界で売れ続けているベストセラー作品です。
しかし、それが誰の手でどんな経緯から生まれたのか知る人は少ないのではないでしょうか。
メアリーは19世紀にイギリスで生まれましたが、その家庭事情は悲惨なものでした。
家庭からまともな愛情を受けられず、父の書斎にあった本だけが友達という少女時代を過ごします。
ただ、あまりにも天才すぎたが故に大学を除籍となった所をシェリーに持って行かれました。
彼女の人生はずっと「孤独」に尽きるものだったのですが、本作はそこから何を伝えてくれるのでしょうか?
パーシーが作者を明かす意味
ラストでメアリーが『フランケンシュタイン』を出す際、パーシーは作者を具体的にメアリーだと明かしました。
長いこと暗闇の中で過ごしてきたメアリーですが、このシーンで初めて彼女の人生は報われるのです。
ここではその意味を読み解いていきましょう。
陰極まって陽となる
まずこのシーンで描かれているのはメアリーの人生がやっとここで光り輝いたことです。
メアリーの人生はずっと周囲から傷つけられ、裏切られる孤独な人生でした。
パーシーと駆け落ちしても苦労の連続で、ずっと闇の中を進んできたのです。
それがこのシーンでようやく日の目を見ることになり、最高のカタルシスとなります。
正に陰極まって陽となる、苦しみ抜いた末には至福の結末が待ち受けていたのです。
真の夫婦になる
2つ目にここで初めてメアリーとパーシーが真の夫婦になったことを意味します。
メアリーはずっとパーシーの奔放さに振り回され絶望から孤独を深めました。
ラストシーンの前には著者名をパーシーにするかメアリーにするかで揉める一幕があるのです。
ここで初めて2人が本音でぶつかり合ったという経験が2人の愛をより深めることになります。
雨降って地固まる構図ですが、腹を割って話し合うことが2人の関係を強固なものとしました。
それがあったからこそ2人は真の夫婦になることが出来たのです。