本作はそれを最後の最後まで作品のルールとして体現したのではないでしょうか。
決して安易に魔物を倒して万々歳という展開にせず、バードにも代償を与えました。
痛みを伴いながら倒すからこそ作品としての公平性が保たれる形となります。
黒い影の正体
さて、本作でバードと愉快な友人たちを苦しめた魔物は最初、形無き黒い影でした。
その正体が何であったのかをここでは考察していきましょう。
ローランドの怨念
魔物となった黒い影の正体は何とローランドの怨念だったのです。
警察に射殺されたとき、その怨念がポラロイドカメラの中に強く残ってしまったのでしょう。
その証拠にバードの友人が写真にわずかに映っただけでもどんどん死んでいきます。
それ位怨念が強く、ポラロイドカメラをその性能ごと完全に乗っ取ってしまったようです。
特に保安官が写真が切り裂かれると共に無残に死んでいく様はかなりのトラウマとなります。
長年の時を経てその怨念が実体化してあの魔物へと進化を遂げたのではないでしょうか。
いじめられた側は覚えている
2つ目にローランドの怨念の元になっていたのが娘レベッカが受けたいじめでした。
気が弱いいじめられっ子だった彼女にとって唯一の味方がカメラだったのです。
そう、いじめた側は簡単に忘れたとしても、いじめられた側には生涯の闇として残ります。
言葉だけで書くと軽く思える「いじめ」ですが、その実態は犯罪と何ら変わりません。
その位徹底した情念が作品全体を通して描かれており、非常に重みがあります。
いじめは人の魂を根っこから歪ませてしまうものなのです。
親世代のツケを払う子供世代
そして3つ目に実はローランドの怨念とバードたち高校生で実は大きな対比がなされています。
子供世代VS親世代、即ち親世代のツケを子供世代が払う形となっているのです。
はっきりいってバードやコナー、ケイシーたちからすればこれはとんだ迷惑でしょう。
それがまた同時にいじめなどがなく仲の良いバードたちとの対比にもなっています。
本テーマではないものの、実はかなり意図的に親と子の物語でもあるのです。
ローランドの妻が嘘をついた真意
前述したローランドの娘レベッカの件は何と妻による完全な作り話だったのです。
事実は全く違い、何とローランドは娘レベッカに性的虐待を行っていた犯罪者でした。
バードたちから批判されたこの作り話の真意を読み解いていきましょう。
逆恨み
1番にある真意は保安官並びにバードたちへの逆恨みでした。
保安官は寧ろ娘レベッカをローランドの魔の手から救おうとしたのです。
レベッカの自殺は間違っていませんが、その日付や至る経緯を作り替えていました。