人間都合が悪い部分に関しては誰かのせいにして自分のことを棚上げしたくなります。
夫が夫なら妻も妻というとんでもなく狂った一家であることが読み取れるでしょう。
作品全体への影響ではないものの、このどんでん返しは中々に効果的です。
体裁を取り繕う
2つ目にまさかローランドがそんなことをしていた犯罪者だと知られたくなかったのでしょう。
ローランドの妻は劇中でそういう虐待を知りながら黙認していた傍観者として描かれています。
しかしそれが世間に出てはどれだけ叩かれるか分からないから、巧妙に事実をぼかしたのです。
現に妻がローランドの作り話をするときの目は完全に嘘をついており、誤魔化しきれていません。
娘を自殺に追いやったのが家庭内環境だったなんて絶対に知られてはいけないのです。
保安官の死亡フラグ
そして3つ目にこの展開自体が保安官の死亡フラグだったのではないでしょうか。
ホラー映画において謎の正体を知った者が基本的に無事で済むことはありません。
保安官も上手くやり過ごせばよかったものを迂闊に作り話だと真実を話してしまいました。
学生の時から正義感の強い男として描かれていましたが、それ故に彼は魔物に殺されたのです。
もっとも、保安官の犠牲がなかったらバードたちの勝利もなかったのが皮肉ではありますが…。
いずれにしても、保安官が過去の因縁によって死ぬ運命にあったことが示されています。
写真が全て良い思い出とは限らない
本作を考察していくと、写真が全て良い思い出とは限らないことが示されています。
ポラロイドカメラにしてもスマホのカメラにしても殆どは大切な思い出として残るものです。
しかし、中には犯罪の記録を押さえておくための証拠写真や嫌な思い出になることもあります。
今回のポラロイドカメラは正に写真が負の方向に機能した例ではないでしょうか。
また、古い思い出のものだからと安易に手を出してしまった主人公達にも問題はありました。
触らぬ神に祟りなしということわざが似合うような展開となっています。
結局1番怖いのは幽霊でも何でもなく人間の心の中にある感情ということでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本作は一見ポラロイドカメラという懐古趣味に寄せつつ、それをはっきりと否定しています。
時代遅れとなったカメラを興味本位で使ってしまったことが悲惨な事件に発展したのですから。
またそのせいで知らなくてもいい筈の大人世代の因縁・業を知ってしまうことにもなりました。
世の中知らない方が幸せに生きていけることもあるとバードたちは思い知ったことでしょう。
また、この事件を通して彼女たちは大人たちが必ずしも尊敬すべき存在ではないことも学んだはずです。
昔懐かしい感じを出しながらも怖く、また同時に哀愁も感じさせる良作でした。