大人と子供の違いは目に見えないものへの想いではないでしょうか。
星の王子さまが子供の心を取り戻したラストシーンは、大切なものを忘れただけで誰しも取り戻すことが出来ることを暗示しています。
問題は大人になることじゃない忘れることじゃ
引用:リトルプリンス 星の王子さまと私/配給会社:パラマウント映画
おじいさんがいうように、大切なものは大人になっても忘れてはいけないのでしょう。
劇中に描かれた見えないものとは
劇中に描かれていた見えないものとは一体なんでしょう。
原作との違いを比較してみましょう。
原作では蛇に噛まれて終わる
原作となった「星の王子さま」は蛇の毒に倒れてラストをむかえます。
入れ物である肉体を地球に置き、心はバラのある故郷へ帰ったということを示唆しているのではないでしょうか。
死生観を問われているようなラストシーンです。
映画ではバラが散っている
劇中では星の王子さまは大人に成長しており、バラの花が死んでいきます。
死んでも側にいる、目に見えない想いが存在することを明確にしたラストシーンでした。
おじいさんはおそらく、死をむかえるのではないでしょうか。
それでも女の子は寂しさではなく、側にぬくもりを感じるはずです。
目に見えないものとは、人や物を特別なものとして慈しむ心と考察出来ます。
優秀な子供とはなにか
本作に描かれていた女の子はやるべきことをこなす大人の心を持った子供であり、現代が作り上げた偽物の子供といえます。
引っ越し後に壁に穴が開いたのは、女の子が閉じ込められた殻をおじいさんが破ったことを意味しているのでしょう。
自分の本来の心を取り戻した女の子は、自由で想像力があり幸せな笑顔を観せていました。
優秀な子供とはやるべきことをこなす子供ではありません。
心に素直に生きることが出来る子供です、人の想いを感じ大切にすることが出来る子供こそが立派な大人になれるのでしょう。
抽象的だから楽しい映画
本作は少々抽象的な作りになっており、観る人や観る年代によって様々な捉え方が出来るのではないでしょうか。
本をプレゼントした理由や記憶を失った理由、見えないものの正体など何通りもの答えがあるはずです。
星の王子さまが生きており、少々擦れてしまったというユーモアも現代にそった内容でした。
『リトルプリンス 星の王子さまと私』は、何度も観返して深く考察したくなる名作といえるでしょう。