施設における虐待の実態に気づいたウィルは裏金まで使って所長と交渉してシーザーを引き取ろうとしました。
しかし「一緒に家に帰ろう」というウィルにシーザーは何もいわず自ら檻の扉を閉めます。
シーザーは施設に入った最初こそウィルと一緒に暮らす家に帰りたい思いで一杯でしたが、徐々にその思いは変化しました。
施設で虐待され続ける猿の仲間たちを見捨てることができなくなったのでした。
この時点ではシーザーに猿の仲間たちを率いて自分たちの世界を作ろうとするまでの意識はなかったと思われます。
ただし、自分の居場所はもはやウィルの家ではないことは薄々気づいていました。
あれほどウィルの迎えを待ち望んだのに、しばらくウィルから何のコンタクトなくもなく、見捨てられた感があったのも事実でしょう。
二回目の拒絶
二回目の拒絶は最初のエンディングの時です。このとき既にシーザーは言葉を発することができるようになっていました。
ウィルの「家に帰ろう」という言葉に「ここがシーザーの家」と迎えを拒絶します。
この時既にシーザーには猿たちを率いて人間とは違うコミュニティを作ろうとする決意ができていました。
シーザーたち猿の群れを全滅させようとする人間の攻撃を巧みにしのぎ、ゴールデン・ゲート・ゲートブリッジを渡ったシーザーには、ある種の自信も生まれていたはずです。
情け容赦ない人間の猿に対する振る舞いを目撃したウィルにも、もはや自分たちの世界でシーザーたちが共生することの不可能を理解できていました。
このためシーザーの拒絶をウィルは笑顔で了解したのです。ウィルの笑顔の了解にはシーザーに対するある種のエールが含まれていたかも知れません。
薬を盗んだシーザーの意図
シーザーは収容施設で何とか猿の仲間たちとを組織化しようと目論みますが、猿たちの知的レベルが低すぎることが障害になることに気づきます。
そこで、シーザーはウィルの家にあるウィルが開発した知力向上に効果がある薬を盗み出しました。
ウィルが父親にその薬を試し、効果があることをシーザーは理解していましたので、それを施設の猿たちに使おうとしたのです。
効果は絶大でした。施設の猿たちはシーザーのもとに組織化され、やがてシーザーたちは行動を起こします。
檻の壁に描いた模様
施設に収容されたシーザーは繰り返し虐待を受けます。猿のコミュニティでも仲間はずれにされます。
やがてシーザーは落ちていた石を使って檻の壁に幾何学模様を描きました。
結局シーザーはこの幾何学模様を消すことになるのですが、幾何学模様の意味は何だったのでしょうか。
模様の意味
檻の壁に描いた幾何学模様はシーザーが住んでいたウィルの家の屋根裏部屋にあるガラス窓の絵だったのです。
シーザーは繰り返される自分への虐待に耐えようと、楽しかったウィルの家での生活を懐かしみ、自分がいつも外を覗いていたガラス窓の絵を描きました。
そこにはある種の現実逃避が見られます。つらい現実を意識の外に追いやり、昔の居心地のよかった世界に閉じこもろうとする行動です。
ウィルの家での生活の象徴である窓を壁に描いたシーザーの行動には、きっとすぐウィルが迎えに来てまた家に帰れるという期待感もあったことでしょう。
模様を消すシーザー
シーザーの思いとは異なり、ことはそう簡単ではありませんでした。