出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B078HH3Z95/?tag=cinema-notes-22
映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』はジェームズ・ボーエンの半生を描いた伝記映画です。
原作は『ボブという名のストリート・キャット』という実話を基にしたベストセラー作品でした。
監督はロジャー・スポティスウッド、主演をルーク・トレッダウェイと実話の猫・ボブが務めています。
ジェームズ本人もカメオ出演している贅沢ぶりで、完成度も非常に高く以下の功績を残しました。
2017年の英国ナショナルフィルムアワードにて最優秀英国映画賞を受賞した。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ボブという名の猫_幸せのハイタッチ
ストリートミュージシャンと猫との奇跡の出会いが変える物語はとても美しく涙なしでは見られません。
本稿では野良猫ボブが青年ジェームズのもとに現れた意味を考察していきましょう。
また、彼が薬を断てた要因と父に会いに行った理由も併せて読み解いていきます。
ジェームズ・ボーエン、その数奇な運命
今や世界的な作家として有名なジェームズ・ボーエンを知らぬ者は居ないでしょう。
今でこそ作家として大成していらっしゃいますが、そこに至るまでの彼の人生は波乱万丈でありました。
幼少期は両親の離婚に学校でのいじめ、更にADHD・統合失調症・躁うつ病という病を全部体験しています。
更には薬物依存に陥った挙句の路上ライブと目を覆いたくなる悲惨な若者時代があったのです。
それが1匹の茶トラ猫との出会いで劇的に変わったのですから「事実は小説よりも奇なり」でしょう。
本作はそんなジェームズサクセスストーリーを凄く優しく温かく描いてくれています。
果たして本作が紡ぎ出す物語は受け手に何を伝えてくれるのでしょうか?
ボブがジェームズのもとに現れた意味
家族からも毛嫌いされしがない路上生活を送っていたジェームズの元にやって来た野良猫ボブ。
颯爽と現われたその猫はジェームズの人生を大きく変える程のきっかけとなったのです。
果たしてボブが彼のもとに現われた意味は何でしょうか?
幸福を呼ぶ
まずボブだけではなく現実世界に猫との出会いで人生が劇的に変わった例は沢山あります。
科学的にも猫は出会った人の人生を好転させる「幸福」の象徴だと裏付けられているのです。
実際にボブとの出会いを通してジェームズのみならず彼の周りの人も幸せになりました。
腫れ物扱いされた家族と仲良くなったり、路上ライブが急に上手く行きだしたりするのです。
そういう意味で物語全体としての出会いの意味はジェームズに「幸福を呼ぶ」ことにあります。
親しみやすい
2つ目にいえるのはジェームズがとても親しみやすい人であるということです。
猫は人と出会った時に第1印象で近づき易い人かそうでない人かを見分けるといわれています。
ジェームズはボブからしたらとても親しみやすく懐に入りやすい人だったのでしょう。
ジェームズ・ボーエンの魅力は何といっても人を差別せず受け入れる包容力にあります。
1度受け入れた相手は余程のことがない限り嫌いにはならず、喜怒哀楽も弱い所も見せるのです。
そういう飾らない自然体な生き方だからこそボブもジェームズに惹かれていったのではないでしょうか。
負のオーラからは逃げる
しかし、そんな幸福の象徴であるボブでも全てを幸せにするわけではないことが示されています。
例えばジェームズの再婚相手が娘にろくでもない話を吹き込んだ時、ボブは逃げてしまうのです。