おそらく未来のシラノは詩織を失って、ボロボロになった状態なのではないでしょうか。
彼女を救いたい、その気持ちが溢れて息も詰まる思いなのでしょう。
過去の詩織が身を守ることで過去を変えて、この苦しい世界をなくして欲しいと思ったのでしょう。
なぜ理由を教えなかったのか
シラノは尾行を頼んでおきながら、その理由を口にしようとはしていませんでした。
なぜ彼は理由を伝えなかったのでしょう。
信じてもらえないから
こちらについても劇中で平野は下記のように考察しています。
もし未来人が、この日部屋にいたら強盗に殺されますといって信じられますか?
引用:九月の恋と出会うまで/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
確かに、未来から話しかけているというだけでも信じがたいのに、自分が殺されるという話は信じがたいものです。
下手をすると詩織はシラノの話を信じず部屋に残ってしまう可能性もあります。
ごく自然な形で、詩織を守る為に本当の理由をいわなかったのかもしれません。
未来を話すと行動が変わってしまうから
それは…今は話せません
引用:九月の恋と出会うまで/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
詩織の身に何が起こるのかを事前に話してしまうことで、詩織の行動は変化するでしょう。
鍵をしっかりかければ、その日強盗殺人者はあきらめるはずです。
しかし、他の日に強盗をしに再びやってくるかもしれません。
強盗殺人者は9月27日に詩織の部屋に入り、警察に捕まらなくてはいけないのです。
大きく歴史を変えないように、理由を隠し詩織の行動だけ変えたのではないでしょうか。
シラノが声をかけた真意
シラノはなぜ過去の詩織に声をかけたのでしょう。
偶然声が聞こえたから
劇中には描かれていませんが、小説では詩織を喪失した平野が詩織への想いを胸に2B(詩織の部屋)へ引っ越したと書かれています。
その時に、偶然過去の詩織の声をきき声をかけたのでしょう。
もしも過去と繋がっていたら詩織を救うことが出来ると思い、恐る恐る声をかけたと考察出来ます。
殺された詩織に気持ちを伝える為
シラノが声をかけた時点で詩織は殺されています。
自分の気持ちを伝えることが出来なかったので、せめて過去の詩織に気持ちを伝えたかったのでしょう。
もし僕と北村さんが会うことが出来たら、街で一番のレストランでごちそうさせてくれませんか
引用:九月の恋と出会うまで/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
時を超えたシラノの言葉には、失った時間を取り戻すような愛が込められていたのです。
平野が声をかけた想い
平野が声をかけたことで詩織の命は救われましたが、彼はどんな思いで詩織に声をかけたのでしょう。
好きな人を守りたい
男は誰もが好きな人のために奇跡を起こしたいと思っている
引用:九月の恋と出会うまで/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
真一の登場で、自分の恋は終わったと思っていた平野ですが、ずっと彼女への想いは消えなかったのでしょう。
自分がシラノになる為に、小説を書きあげ奇跡を起こしたのです。
詩織を救いたいという一心で彼は自ら奇跡を起こし、声をかけたのでしょう。
今度こそ気持ちを素直に伝えたい
未来では気持ちを伝えることなく詩織を失ってしまいますが、平野は自分の力で殻を破り彼女を救い出すのです。