声をかける時も、自分の気持ちを素直に伝えようと思っていたのではないでしょうか。
平野は約束通り街で一番のレストランに彼女を連れていきましたが、男として彼女を幸せにするという決意を感じます。
運命に逆らうことの意味
タイムトラベル系の説明はややこしくわかりにくいものですが、劇中ではとてもシンプルに語られています。
本作ではタイムパラドックスが軸となっています。
矛盾を修正する力
詩織が悩んでいたのは、歴史を修正する力から逃れられないからです。
平野が語っていたように「親殺しのパラドックス」によって詩織は歴史に修正されるのでしょう。
詩織が生きているということは、シラノは後悔しておらず声をかけることもないのです。
そこにシラノ(平野)の想いも存在していないといえます。
歴史の矛盾までも平野は変えてしまい、それほどに愛は強かったのです。
飄々と生きているような平野ですが、心の底に熱いものを持っていたのでしょう。
運命を変えるのは自分
歴史の矛盾に真っ向から挑んだ平野ですが、彼の姿から運命は変えられるという信念を感じます。
いつもおどおどしていた小説家希望の平野が、下記のオーナーの言葉で運命を相手に自分を変えたのです。
殻を破る覚悟は
引用:九月の恋と出会うまで/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
運命を変えるのは不可能ともいわれますが、自分が変わることでいくらでも運命を変えることが出来るのではないでしょうか。
奇跡だ
引用:九月の恋と出会うまで/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
声が繋がった時に平野は上記言葉を口にしますが、奇跡は偶然起きるものではなく自分の意志や行動で起こすものなのでしょう。
自分の境遇を嘆く前に殻を破るべきだ、そんなメッセージを感じます。
運命は変えることが出来る
山本透監督は、自分の殻を破ることで奇跡は起きると伝えています。
平野の強い想いは時間までも飛び越えていました、一歩踏み出せないでいる人の背中を強く押してくれる映画です。
そして本作で描かれていた優しい愛の形は、観る者を癒してくれるのではないでしょうか。
『九月の君と出会うまで』は小説や漫画でも出版されており、少々内容が異なっています。
更に深くこの作品を考察したい人は、併せて読んでみるのもいいかもしれません。