それは犯罪です
そこで今夜私たちの最終幕で
一緒に間違いを正してください
引用:グランド・イリュージョン/配給会社:サミット・エンターテインメント
ニューヨークにて、フォー・ホースメンが最終幕で語ったこれらの言葉は、当然このショーの計画者アイつまりローズの言葉と取れます。
そして、これは復讐劇を終わりにするという事です。
ついにサディアスへの復讐が為される時が来たのです!
復讐劇の順序には意味があった
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、この復讐劇は罪の軽い順番に行われている事が分かります。
- パリ大手銀行が保険の引受をする事になった理由⇒アーサーの保険会社が支払いを拒否したから。
- 保険会社が関与する事になった理由⇒マジックで使った金庫が不良品でシュライクが死亡したから。
- そもそも金庫を使った脱出トリックをやる羽目になった理由⇒マジシャンとしての名誉を取り返す為。
- その名誉を奪われた理由⇒アイに選ばれない妬みで種明しをしたサディアスの存在。
実際のショーも、「パリ銀行→保険会社のアーサー→金庫会社」という流れで行われています。
ローズとしては一番恨みがあるのは当然サディアスですから、クライマックスで復讐を果たすでしょう。
それが「金庫会社のエルコーンの脱税金をサディアスの車に乗せ、逮捕に追い詰める」ことだったのです。
まさに、復讐が復讐を創りあげたシーンでした。
黒幕ローズを憎めないワケ
今回様々な相手にダイナミックな復讐を成し遂げたローズ。
映画の黒幕は一番悪に染まっている事が多いですが、今回の黒幕は何だか憎めない、むしろ応援してしまう人も多かったと思います。
その理由についてみていきましょう!
犠牲者を出していない
ローズは頭が良いので、自分の手は汚さず且つ市民達をもハッピーにさせ、元々路上マジシャンだったフォー・ホースメン達をハイリスクである代わりスターマジシャンにさせました。
まさにウィンウィンというところでしょうか!
確実に復讐するターゲットのみを陥れて、他の者には危害を加えていない点が見ていて嫌な気分がしない理由だと思います。
そういう意味でも、この映画は見ていて楽しいと高評価なのでしょう。
アルマによって動かされる感情
犯人を逮捕する為に常に頭を働かせて動いてきたアルマ。
ローズにとっては、恐らく一番の厄介者だったと思います。
現に途中で、アルマの事を黒幕なのでは?と疑うシーンも。それ位彼女は優秀な仕事をしていました。
ですがローズは序盤の方からアルマに特別な感情を抱いていました。
例えば機内でトランプカードの数字を当てるゲームで、本当はダイヤの3なのにアルマは「ダイヤのキング」と予想しましたがローズは、「そうだよ」と答えました。
この時のローズの心理は、彼女が喜ぶ姿を見たかったのです。
当然アルマはとっても嬉しそうな表情をしていましたし、ローズもその表情を見て柔らかな笑顔を浮かべていました。
もう1つのポイントは、最終幕でフォー・ホースメンが飛びおりようとするシーンでは、拳銃を向けて本当に発砲しました。
ローズは、アルマの何としてでも捕まえたいという信念に心を動かされたのです。
冷酷ではなく、そういう情熱を持ったローズだからこそ見ている我々も憎めない気持ちになるのでしょう。
エンディングで2人は再会し、アルマはローズがシュライクの息子だという事、今回の黒幕という事に気づくものの、2人だけの永遠の秘密にする選択をしました。
南京錠をかけて、川に鍵を投げ捨てたのはそういう意味です。
おわりに
こうして伏線をまとめると、何故最初に観た時に黒幕の正体がわからなかったのだろう!!と自分に問いたくなるほど、序盤から沢山の伏線が張られていました。
サディアスが自分自身で黒幕に辿り着いた瞬間ローズが鍵のかかった牢屋の外(それも反対側)に移動していたシーン。
あれは、マジックの種を暴いて父を死に追いやったサディアスをマジックで追い詰めた復讐的な意味が込められています。
誰よりもマジックを愛し、最期までマジックに人生を捧げた方だったからなのです。
グランドイリュージョンは続編「グランド・イリュージョン~失われたトリック~」もあるので、是非そちらもご覧になってみてください!