背中合わせで共に前に進めるストイックな格好良さもまた2人にはあるのです。

陰と陽

生命の陰陽学 よみがえる生体リズムの謎

そして何より生駒が「」で無名が「」という裏表の関係ではないでしょうか。

自然体で素直なみんなの希望である無名と世俗から距離を置いて生きる陰の実力者・生駒。

正に表舞台が似合う者と陰として裏舞台が似合う者という関係にあります。

これもまた意図的に対比されており、物語の中で綺麗に棲み分けがなされているのです。

お互い正反対だからこそ惹かれ合い、また余計な偏見や邪念がなく物事を見られるのでしょう。

正に出会うべくして出会った奇跡の運命にある2人であるといえます。

負の感情がカバネを生み出す?

負の感情を捨てる方法 「最悪」は0.1秒で最高に変わる

本作で重視して描かれているのは「負の感情」であり、それが前述の疑心暗鬼にも繋がります。

ここでは負の感情が果たしてカバネを生み出しているのか、その関係を見ていきましょう。

直接の繋がりはない

結論からいえば、負の感情とカバネに直接の因果関係はありそうでないのです。

まずここが物語として大きな引っかけのポイントになっています。

生駒にしても本作のボスである景之にしてもカバネに噛まれたからカバネリになりました。

カバネ自体はあくまで不死の怪物というだけで、それ自体に善悪があるわけではありません。

よって正の感情か負の感情かということはカバネの本質とは何の関係もないのです。

ここを読み違えてしまうと物語の解釈・考察が全く異なってきます。

あくまでも人の心が決める

人の心を動かす話し方

ここで大事なことはあくまでも人の心がカバネの善し悪しを決めているということです。

生駒には攻撃せず景之には容赦なく差別と偏見で殺しにかかる日本軍たちの醜さがその表れでしょう。

そう、本作において見逃せないのは簡単に本質を見誤ってしまう兵士達の愚かしさです。

相手が何か悪いことを起こしたのならまだしも、話を聞きもしないで決めつけ殺そうとします。

端から話し合いによって解決しようという発想が本作における日本軍にはありません。

あくまでカバネやカバネリは1種族に過ぎず、人の心が勝手に悪者と決めつけているのです。

戦い方の違いに見る心の違い

ここで示されているのは部下達の戦い方と生駒と無名の戦い方の決定的な違いです。

両者は景之と戦う時の基準が全く違っており、実は本作では戦いそのものは否定しません。

部下達は「カバネリで悪いことをしそうだから」という偏見で殺しにかかります。

逆に生駒と無名は景之が「こんな国滅んでしまえ」と具体的に悪いことをして初めて殺しにかかるのです。

そう、「悪そうだから殺す」のと「悪いことをしたから殺す」ではまるで違います

負の感情がカバネを生むのではなく、カバネに対する見方や心構えで悪かどうかが決まるのです。

王道でありながらも決して安易な勧善懲悪にしていないのが実に物語として優れた所でしょう。

無名がキスをした理由

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お互いの大切さをより深く知った生駒と無名は結束力を高め、最高の恋人兼相棒となりました。

ラストで無名は手袋を生駒に渡してキスをするのですが、ここではその理由を考察していきましょう。

心の救済

救済 SAVE

まず1つ目に無名が生駒を心の孤独から救済したという意味があるのではないでしょうか。

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