ここではラストの指輪の意味を読み解きましょう。

指輪の裏のメッセージ

まずこの指輪は裏に英語であるメッセージが彫られていました。

All for you,it’s my pleasure（あなたの喜びは、私の喜び）

引用:泣き虫ピエロの結婚式/配給会社:スールキートス

これは佳奈美が1番大切にしてたクラウンとしての誇り・こだわりです。

そう、陽介は佳奈美が本当に大切にしていたものをきちんと理解していました。

彼なりの彼女に対する粋な計らいにして恩返しだったのではないでしょうか。

陽介の人生が佳奈美との出会いで楽しいものになったことを意味しています。

2人の愛は永遠である

ややベタですが、2人の愛が永遠であることも意味しているのではないでしょうか。

陽介も佳奈美もファーストコンタクトの時点で惹かれ合っていました。

そしてどれだけ病気の壁があっても、決して諦めずに努力を重ねたのです。

この指輪によって、陽介は死しても尚佳奈美の心に残り続ける人となりました。

佳奈美がこの先どんな素敵な人と出会っても陽介のことは決して忘れないでしょう。

そのような「永遠の愛」の象徴としての意味づけがなされています。

幸福の涙

ここで大事なのは指輪をはめた後の佳奈美の涙の意味です。

この涙は悲しさの涙ではなく幸福の涙という最高のカタルシスです。

泣き虫ピエロであった佳奈美はここに至るまで、悲しさの為に涙を流しました。

そんな彼女が最後に流した涙は嬉しさだったのではないでしょうか。

指輪をはめたことで自身の人生が陽介に愛された人生だと悟ったのでしょう。

同時にそれは陽介の死が決して悲劇ではないことをも意味していたのです。

生きるということ

佳奈美と陽介を通して描かれた本作のメインテーマは「生きる」ということです。

非常に根源的でありながら、それ故に再現の難しいテーマでもあります。

しかし、本作はそれを佳奈美の「笑顔にする」という前向きさで吹き飛ばしました。

決して重病をバカにするわけではなく、しかし決して諦めるわけでもありません。

最後の最後まで佳奈美は陽介に生き続けるように励まし続けるのです。

それが本作の作風を明るく前向きで爽やかなものにしてくれたのでしょう。

やらず後悔よりもやって失敗

最後に、本作を見ていくと実は重要な教訓が込められています。

それは「やらず後悔よりもやって失敗」という、凄く大事な教訓です。

たとえ失敗してもその時やったことは後々人生の中で笑い話となります。

しかし、やらなかったことはずっと人生に後悔として残るのです。

もし佳奈美が陽介と生きることを諦めていたら、どこかで悔いが残ったでしょう。

最後まで生きる努力を諦めずやりきったからこそお互いの人生に後悔がないのです。

後悔する人生よりも失敗する人生の方が魅力的だと教えてくれた名作でした。

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