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映画『家族のはなし』は2018年に公開された、お笑い芸人・鉄拳のパラパラ漫画を実写化した作品です。
山本剛義監督の下、岡田将生と成海璃子を主演メンバーに据えて制作されました。
また、脇を時任三郎と財前直見ら実力派のベテランが固めるなど非常に安定感のある豪華布陣です。
進路が決まらないリンゴ農園の息子・拓也が自分の生き方を見つめ直していきます。
様々な挫折と失敗を経て見えてくる拓也の欠点と両親の思いやりの温かさが目立つ物語です。
本稿では拓也が式典参加を決意した真意をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、最後の手紙の意味と両親が知らないふりをしていた理由も併せて読み解きます。
両親の偉大さ
タイトルにもある通り本作は「家族」の話ですが、もっと突き詰めると「両親」ではないでしょうか。
親は子供の隠しごとの大半をお見通しといいますが、拓也の両親は正にそのように描かれています。
そういうことも知らないで釈迦の手のひらの上で踊っている猿、それが拓也なのです。
取り立ててドラマの内容が凄いというわけではなく、物語自体は割と日常にあるものでしょう。
しかし、両親の有難味など子供は中々気付かず、ついつい当たり前だと思ってしまうもの。
本作が紡ぎ出す素晴らしき親子愛は果たして何を伝えてくれるのでしょうか?
式典参加を決意した真意
物語後半で拓也は中学校の恩師からの頼みで式典で曲の披露を頼まれます。
とはいえ、最初から乗り気だったのではなく幼馴染の明日香が勝手に請け負ったことでした。
その後1度は断ったにかかわらず、拓也は式典参加を決意したのです。
ここでは改めてその真意を読み解きましょう。
バンドマンとしての区切り
まず1つ目に、この式典は拓也達にとってバンドマンとしての区切りなのです。
拓也はバンドのオーディションに見事合格しデビューが決まったものの早速行き詰まります。
新曲完成の締め切りに間に合わなかったせいで事務所から契約解除されてしまったのです。
拓也はせめて1度は新曲を披露しないと本当に中途半端に終わってしまうと思ったのでしょう。
彼の人生は失敗や挫折の多い人生ですが、折り目正しさはしっかり備えています。
たとえ失敗しても決して中途半端には終わらさないのが拓也のいいところです。
明日香との約束
2つ目に、やや強引ではありますがこれは拓也と明日香との約束でもあります。
本来ならばバンドとして華々しくデビューを飾り、満を持しての式典参加のつもりでした。
その約束が上記した契約解除によって全部不意にされてしまったのです。
しかし、だからといってそれで何も出来ませんでしたでは単なる泣き寝入りでしょう。
どんな形であれ、1度約束したことはしっかり守って筋を通さなければなりません。