出典;https://www.amazon.co.jp/dp/B071W4S3HT/?tag=cinema-notes-22
人間の心の闇を丁寧に描いた「愚行録」。鑑賞後に、何とも言えない複雑な心境になった方も多いでしょう。
このドラマの登場人物には、完全な善人がほとんどいません。
表面的には善良そうな人も、心に何らかのしこりや傷があるというのがこの物語の狙いだと思われます。
誰もが、人に言えない秘密や愚行した過去を持っているというメッセージが伝わってきました。
ここでは、映画の冒頭とラストで描かれたバスの中のシーンについて深掘り。
武志と光子の関係や心情を考察し武志の殺害理由や、子供を亡くした光子が笑った意味などをまとめてみました。
この作品は、貫井徳郎さんのミステリー小説を、妻夫木聡さん、満島あかりさんをはじめとした豪華キャストを迎えて映画化。
妻夫木さんと満島さんの重厚な演技が作品の迫力を倍増させています。メガホンはこの作品が長編デビューとなる石川慶監督。
2017年度新藤兼人賞 銀賞 第27回日本映画プロフェッショナル大賞 新人監督賞
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/愚行録
最後のバスシーンの意味を徹底考察!
ラストのバスの中のシーンにはいろんな意味が含まれているようです。
映画の全体の流れからラストシーンに隠された意味を考察しました。
冒頭のシーンとの対比
物語の冒頭では、周囲の人に促されて席を席を譲り、身障者の振りをした週刊テラス記者田中武志。
ラストシーンでは、隣に立っていた妊婦に素直に席を譲ります。
最初のシーンでは、注意した人に罪悪感を持たせる武志の自我がはっきりしているのですが、ラストでは異なります。
武志のうつろな表情や態度は、自分の存在すらどうなっても良いと考えているように見て取れます。
細かいことにこだわる気概も失ない、生きる目的さえ無くし絶望の淵に堕ちていく怖さがあらわれていました。
ラストシーン雨の持つ意味
ラストシーン、雨が流れるバスの窓と無表情の武志の顔が印象的です。
雨には、すべての愚行を水に流すという意味が含まれているのでしょうか。
武志の顔は、犯した罪が水に流すことができない事実だと、後悔しているようにも見えます。
誰にも人に言えない過去がある
バスのシーンでは、数人の乗客の表情が映し出されています。
人それぞれの人生には、人に言えない秘密や愚かな行いがあるとの暗示ではないでしょうか。
冒頭のシーンもラストもスローモーションが効果的で、誰の心にも闇が潜んでいるという恐怖が強調されているようでした。
また、ラストでは乗客の笑顔や充実した人生を送っている姿が印象に残りました。
幸せそうな毎日を過ごしている人にも、心の闇は潜んでいるのです。