出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07TYS9XQ4/?tag=cinema-notes-22
自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること
引用:http://21st-century-girl.com/
そんなテーマを掲げて15人の新進気鋭の女性映画監督による8分の短編で構成された『21世紀の女の子』。
2018年の東京国際映画祭で日本映画スプラッシュ部門出品され話題となりました。
本作を企画・プロデュースし、短編の監督も務めたのは『溺れるナイフ』で一躍有名となった山戸結希。
監督が21世紀の女の子たちを通じて何を伝えたかったのか、それぞれの物語から考察しながら迫っていきましょう。
それぞれの愛の形
『21世紀の女の子』にはさまざまな愛の形が描かれています。
人の数だけ愛の形は存在しますが本作の中ではどのような愛の形が描かれていたのでしょうか?
友人を想う愛
「愛」、と聞くと恋人や家族といった人たちとの関係を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、友人を大切に思う気持ちも一つの愛といえないでしょうか?
『ミューズ』ではそんな2人の友人という関係性を超えそうな深くも儚い友人を想う愛が描かれていると考察できます。
同性同士の愛
同性同士の愛や恋模様、特に女性同士の愛の形も本作の中に登場します。
『Mirror』ではそんな元パートナーで写真家と被写体という2人の女性の微妙な関係を描いていました。
同性愛というテーマが特別視されずに自然に本作に組み込まれている点が21世紀の多様性を表しているのでしょう。
親子の愛
親子の愛というのも『回転てん子とどりーむ母ちゃん』の中で間接的に描かれていると考えられないでしょうか。
混沌とした中華料理屋で描かれていたのは母親としての愛や女性として輝きたいといった欲望などが入り混じった状態と考えられます。
何人もいた登場人物はどれも一人の女性の気持ちと仮定して再度見てみるとまた違った見解を得られるのではないでしょうか。
理想の愛
理想の愛や恋とのギャップをシニカルに描いていたのが『恋愛乾燥剤』です。
男の子に告白され初めて交際をスタートされた女の子でしたが、妙な違和感を覚え始めます。
その正体は理想の愛や恋の形と今の恋の形の違和感だったのではないでしょうか?
過去の愛
過去の愛に縛られている女の子がその愛を否定することなく受け入れ、前を向いていく『愛はどこにも消えない』。
過去の愛に執着し今をうまく生きれなかったり、過去の自分や相手を憎んだり傷つけたりしている人もいるのではないでしょうか。
本作では主人公が過去の愛を大切な思い出として昇華し、新たな人生をスタートさせるという過程を鮮やかに描いています。
自己愛
他人へ注ぐ愛情と同様に大切なのが自分へ注ぐ愛情、自己愛です。
そんな自己愛を取り戻す過程を描いていたのが『projection』。
誰かに生まれ変わりたいと思っていた女の子が素の自分を撮影されることで自己肯定感を取り戻した物語と考えられます。
タイトルの「女の子」の真意とは?
本作のタイトルに含まれている「女の子」。そこにはどんな意味が込められているのでしょうか?