ラストで少年院措置となったにもかかわらず、咲の目は相変わらず憎悪を湛えたままです。

そう、結末まで見ても2人の戦いは決して終わらず、まだまだ続いていきます。

どちらかが倒れるまで聡と咲の闘争はずっと続いていくのです。

それを予感させるものとして、象徴的に闘魚が使われているものと推測されます。

加奈をいじめた理由

いじめを本気でなくすには (角川書店単行本)

加奈の転落死の原因は咲が加奈をいじめ、それに加奈が追い詰められたからです。

2人は出会った時こそ仲良しだったのに、ある時期を境に急激に関係性が変化します。

何故咲が加奈をいじめたのか、その原因を探っていきましょう。

ダークテトラッド

17歳のサイコパス

まず1つ目に、咲の行動パターンを分析していくと「ダークテトラッド」に当てはまります。

サイコパス・ナルシシズム・マキャベリズム・サディズムの4つの特徴を併せ持つ人のことです。

取り巻きをつけての加奈いじめや性的虐待という嘘をついて聡を貶めようとするなどに現われています。

そして1番厄介なのが、安藤親子をはじめ周りを苦しめることに対して何とも思っていないことです。

他者のことを何とも思ってないからこそ、加奈をいじめて蹴落とすことに何の罪悪感もありません。

咲はその意味で先天的にも後天的にも悪人の気質を己の中に持ち合わせているのでしょう。

両親に構って貰えない

2つ目に、咲は両親に構って貰えない孤独を抱え、そのストレス発散を学校でしていたのです。

しかし、単に両親の愛情に餓えているだけなら、ここまでねじ曲がった人格にはならないでしょう。

容姿端麗のお嬢様で、周りからもチヤホヤされるのが当然だと思ったのも少なからず影響しています。

そのため、同情できそうな事情がありながら、決して同情的な方向に話を持っていきません。

ここまで悪の女王キャラを極めた人に感情移入させず、悪として突き抜けさせるのが見事です。

誰でも良かった

誰でもよかった (幻冬舎文庫)

こうして見ていくと、咲がいじめる対象は加奈に限らず誰でも良かったのです。

クラスの中で1番いじめやすいと思ったのが加奈だったからいじめただけなのでしょう。

ここで大事なことはそのいじめに持っていくまでの過程で、これがえげつないのです。

まず最初に親身な振りをして近づき自分側に惹きつけ洗脳した上で、搾取にかかります。

そうして精神をじわじわいたぶり尽くして、最後に突き落とすという寸法です。

要するに「持ち上げて落とす」というとてもいやらしい戦法を取っています。

仮に加奈でなければ、加奈以外の誰かがそのいじめの対象にされていたでしょう。

安藤が学校のベランダで大声を出した真意

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聡は切れ者の咲の術中にはまり、翻弄されながらも後半では巻き返しを図ります。

放課後の教室で2人きりの教室、彼は学校のベランダで大声を出しました。

果たしてこのような行為を行った真意は何なのでしょうか?

家に誘い出すため

まず、聡の目的は質問に答えて貰うことではなく、学校から咲を引きずり出すことです。

これまで彼は学校という咲のテリトリーで勝負しようとして、散々痛い目に遭わされました。

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