ヴァラクは人間の体に憑依し乗っ取らなければ外に出ることは出来ません。
ということは、逆にいえば体を乗っ取らせないように自殺すればいいのです。
悪魔の特徴と習性を逆手に取った見事な形の自己犠牲ではないでしょうか。
キリストの血を使えなかった
2つ目に、ヴィクトリアはキリストの血を使って封印出来なかったことを意味します。
もし彼女がアイリーンのようにキリストの血を使えたならば、封印を選択したでしょう。
それが出来なかったから、最終手段として自殺する以外の方法がなかったのです。
だからこそ、バーク神父はキリストの血を使って封印出来る修道女を探していました。
そしてアイリーンに白羽の矢が立つことになり、封印へ持っていく形となったのです。
こう見ていくと、アイリーンはとんだとばっちりを食らったことになるでしょうか。
鍵を遺しておく
3つ目に、ヴィクトリアは単に自己犠牲を払っただけではなく、後詰めも遺してありました。
それは最後までしっかり鍵を握りしめたまま死体を墓に埋めていたことです。
これは恐らくヴァラクを封印出来る者が現れることを信じていたのでしょう。
修道院が第2次世界大戦の襲撃で壊されたので、地下に封印することにしたのです。
その願いは見事に果たされ、アイリーンという救世主が現われました。
完全な封印とはならなかったものの、ひとまずの脅威は去ったことになるでしょうか。
人間の業
結局の所、本作を通して明らかになっているのは人間の業ではないでしょうか。
まず第2次世界大戦という愚かな戦争がなければ、封印が解けることはありませんでした。
また、他に方法がなかったとはいえ、ヴィクトリアの自害は神に背く大罪です。
更に封印はされておらず、フレンチが乗っ取られるという形で終わりました。
こうして見ると、事態をややこしくしているのは悪魔ではなく人間だといえます。
メタ的に解釈をすると、悪魔も人間の負の感情が生み出したものです。
ホラー映画のエッセンスを突き詰めると、行き着く所は人間が最も怖いということでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本作はシリーズで最も古い時系列である為、ファンタジー色の強い作風となりました。
冒頭でも書きましたが、これでバトル要素を足していけば完全にハリーポッターシリーズです。
なので、ホラー映画というよりはファンタジー色の強いバトル映画ではないでしょうか。
敵の弱点なども明確に用意されているので、かなり怪奇ホラーの要素は薄めです。
この特徴は賛否両論ありますが、前日譚としての完成度をより高めてくれています。
今後もしかしたら続編か何かでヴァラクとの再対決があるかもしれません。
そのような前向きな期待をも抱かせてくれる良作として、非常によく出来ていました。