出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07MV7FGLY/?tag=cinema-notes-22

映画『止められるか、俺たちを』は若松プロダクションの再始動として作られた2018年の作品です。

監督は白石和彌、キャストは門脇麦や井浦新を据えるなど凄く充実した戦力となっています。

ほぼ全てのキャスト・スタッフを若松監督作品に関わっていた人で統一するという念の入れようです。

映画監督若松孝二が設立した若松プロの1969年頃が吉積めぐみ視点で描かれる斬新な切り口になっています。

漫画家の赤塚不二夫も登場するなど、原体験世代にとっても懐かしい作りになっているのです。

本稿ではめぐみの自殺理由をネタバレ込みで考察していきましょう。

また、彼女が一緒に放尿したがった理由や若松がインターを歌った真意も併せて読み解きます。

売れるものか作りたいものか

作家主義―映画の父たちに聞く

本作は表面だけを見ていると、まるで回顧録として作られた映画であるかのようです。

しかし、決してそうではなく中心のテーマは「売れるものか作りたいものか」にあります。

いわゆる「商業主義」か「作家主義」かというプロのせめぎ合いを描いているのです。

たとえ時代が移り変わっても、この葛藤は永遠の課題ではないでしょうか。

とはいえ、本作はそのどちらが正しいという単純な問いと答えを出す作品ではありません。

若松監督を大上段の正義として美化するのではなく、女性助監督の視点で中立的に見せています。

それは今日の視点で冷静に見直していこうという新生若松プロなりの原点回帰ではないでしょうか。

本作を通じた原点回帰の物語が果たして何を伝えてくれるかを本題に沿って見ていきます。

めぐみの自殺理由

自殺

本作のラストはめぐみの自殺という衝撃的な形で幕を閉じることになります。

彼女はウィスキーと睡眠薬を含んだ後、母に最期の電話をかけてお亡くなりになりました。

その自殺理由は何だったのでしょうか?

性別の壁

性・差別・民俗 (河出文庫)

まず1つ目の理由は「性別の壁」を超えることが出来なかったからでしょう。

男尊女卑が根強かった1960~70年代に女性助監督というめぐみの立ち位置は珍しいものでした。

しかし、仕事を共にしていく中で彼女は自身がであるという現実を突きつけられます。

ポルノ映画を作っても男性スタッフと飲んでも、何をしても男性側には染まりきれません。

根が凄く真面目だっためぐみにとってはそれが耐え難い苦痛だったのではないでしょうか。

今でこそ女性監督は珍しくも何ともないですが、当時はまだそれが許されなかったのです。

その壁を超える先駆者になれなかった悔しさがめぐみに自殺を決意させたのでしょう。

妊娠

はじめてママ&パパの妊娠・出産 (実用No.1シリーズ)

2つ目に、めぐみ自身が女性であると思い知らされる出来事として「妊娠」がありました。

女であることを捨てるといいつつ、全く女を捨て切れていません。

その証拠に足立監督が撮った『噴出祈願 十五歳の売春婦』の台詞でトドメを刺されます。

子供を堕ろすことは負けることになるんだから

引用:止められるか、俺たちを/配給会社:若松プロダクション/スコーレ

めぐみがここで涙を流したのはこの台詞で存在を否定された気になったからでしょう。

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