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【銀魂2 掟は破るためにこそある】 伊藤と土方の複雑な想いを徹底解説!「ありがとう」の一言に込められた深い意味が知りたい

SF

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07JJX4XM6/cinema-notes-22

コメディ映画ながらもシリアスありアクションありの奥深い漫画でありアニメであり映画であるこの銀魂という作品。

今回は実写映画の1シーン、土方に斬られた伊東が最期に放った「ありがとう」の一言の意味について徹底解説していきます。

銀魂の実写映画について

伝説の書III「勇者ヨシヒコと導かれし七人」 (伝説の書 3) 大型本 – 2016/12/29

勇者ヨシヒコシリーズの監督でもある福田雄一氏が監督を務める実写版銀魂は、作品本来の笑いを忠実に再現しシュールな笑いを生み出しています。

まずはその映画の評価についてお話しします。

「銀魂2」の映画的価値

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銀魂1の実写映画が実写邦画の映画動員数ナンバー1を記録したため制作が決定した「銀魂2掟は破るためにこそある」

「日本アカデミー賞とは無縁」「小栗旬では主演男優賞が取れない」「菅田将暉は調子に乗ってCDを出している」と小栗旬と菅田将暉を含めた登場人物たちがぼやく音声から始まる独特な幕開け。

ですが、その馴染みやすさゆえか、銀魂の実写版1、2はともに2年連続で実写邦画映画の動員数トップを記録しています。

銀魂ファンの層の厚さ

CPプレート 銀魂2 ブースター

 

元々は週刊少年ジャンプに連載されていた漫画であり、アニメ放送もされていたことから漫画やアニメのファンはもちろん要チェックの作品です。

また、小栗旬菅田将暉などの人気若手俳優、橋本環奈などの人気女優もメインで起用したことから、演技をする「人」目当てに作品を観るなど、単なる少年漫画の実写化映画で終わらない作品となりました。

ただそのファン層の厚さゆえか、「考えさせる」のではなく「伝えたいことは言う」スタイルになっており、そこがアカデミー賞などには結びつかなかった原因でしょう。

土方十四郎

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新撰組の土方歳三をモデルにされたキャラクターではありながら、もはや銀魂の中での「土方さん」として成り立っている人物です。

まずは彼の気持ちについて考えていきましょう。

伊東への想い

「そいつを先生と呼ぶのはやめてくれねえかい」

引用:銀魂2 掟は破るためにこそある/配給会社:東宝

このセリフから口火を切られたように見える、伊東との因縁のはじまりとも呼ぶべきケンカですが、実は伊東はアマントが開発して途中放棄したマイクロチップを使って既に先手を打っていました。

ただこのセリフは、「隊長である近藤が一隊士にかしずいては、他の隊士に示しがつかない」という副長らしい隊士たちへの配慮と、「自分の慕う近藤が知らない誰かと親しそうに話すのを見たくない」という私情との両方が込められているでしょう。

廊下でのすれ違い時には、以下のようにも言います。

邪魔どころではなく殺したい

引用:銀魂2 掟は破るためにこそある/配給会社:東宝

隊士から「副長は戦術だけだが伊東は戦術も政治もできる」と噂されるシーンもあります。

ですが伊東へは実のところ政治もできることへの憧れではなく、はじめから近藤の生命を脅かす人物としての敵対心の方が強かったのでしょう。

伊東が現れた夜にすぐさま、近藤に伊東除名の直談判を行ったことからもそれは明らかです。

武士としての心を重んじる土方は、副長の地位を奪われるかもしれないという危惧よりも、真選組全体の未来を見据えていたことでしょう。

そしてその未来は近藤を中心とする隊の未来であり、そこに伊東は隊を乗っ取りうる邪魔者として映ったのです。

ただしそこには、同族嫌悪としての嫌悪感や警戒も充分に込められていました。

自分と似て実力もあり戦術も練れて近藤からの信頼も厚い伊東が憎く、そして物語が進むにつれ、精神的にはとても未熟な伊東へ憐れみすら抱くようになります。

もし伊東が2次元アイドルオタクのマイクロチップを使っていなければ、2人の争いはもっと激しくなっていたことでしょう。

伊東鴨太郎

よりぬき銀魂さんオンシアター2D 真選組動乱篇

他の物語では登場しないながらも、今回の映画ではもはや主役と呼んでも差し支えのない主要人物です。

彼について触れないと、物語も解説も始まりません。

土方への想い

物語の鍵を握る伊東は、はじめにマイクロチップで土方を封じます。

それは、土方は真選組を奪取する時に邪魔になると判断したから、つまり土方の実力を認めているからなのです。

近藤へ剣術や戦術を教えたというだけあって頭脳明晰で実力も伴う文武両道な人物ですが、何をしても満たされない空虚な心を持っています。

土方への憎しみや殺意も、同族嫌悪や邪魔者を排除するという合理的な考えの他に、どうして自分が持っていないものを「こいつらごときが」持っているのだという行き過ぎた羨望があったことでしょう。

冷徹で感情を捨てた人間と自ら言いながら、作品内では1番人間らしく描かれた人物でもあります。

真選組の隊士を「伊東派」「土方派」と分け、隊士や裏で繋がっている鬼兵隊をも駒扱いする点は、彼の冷徹さを引き立てるために描かれた部分です。

しかし、高杉との会話周辺では、承認欲求の高い「平凡なただの人」として描かれています

「殺したい」とまで言った土方に対し最期には「ありがとう」と言っていること。

これが映画を観た人々の心に響いているのは確実です。

物語全体の伏線

銀魂

「ありがとう」の一言に込められた想いを読み解くには、きっちりと映画中での伏線を理解しておくことが重要です。

何度もハモる言葉

土方と伊東との会話では、同じセリフを両者が口にするシーンが何度も描かれます。

これはただのハモリではなく、同じことを考えていることを観た人に強く印象付けるための一種の技術です。

2人が互いに、相手に対して同じ感情を抱いていることを示唆すると同時に、2人が実は似た性格であることを示しています。

立場が違えば、出会いが早ければ、親友となることも可能だったでしょう。

そこは時代ゆえの悲劇ともいえます。

プライドの高さ

こちらも何度も繰り返される、土方への「プライドが高い」という言葉

これはそのまま、土方と似た伊東へも適応されます。

お互いにプライドが高いまま、伊東は自分の思想を曲げず、土方は自分の信念を貫きます

これは土方がトッシーになったときにはブレますが、真選組の鬼の副長土方十四郎としてのプライドと、勉学武術とに秀でた伊東鴨太郎のプライドの高さは、武士としてのあるべき姿を捉えた並々ならぬ高さです。

裏切り者は裏切りによって死ぬ

これは高杉の直の手下、窪田正孝演じる河上万斉のセリフで、因果応報を拡大解釈したセリフです。

身に余ることをしようとした者は、その反乱に遭って死ぬ。

プライドの高い者はプライドの高さによって死ぬ。

こうして考えていくといくらでも言い換えができます。

絆を軽んじる者は、絆を軽んじる者によって死ぬのです。

真選組に囲まれる最後のシーン

「このままでも死ぬけれど副長との決闘で負けたという名誉を付けて死なせてあげる」という理屈は現代ではあまり通用しませんが、局長法度「敵と内通した者はこれを粛清する」という項目と、伊東についた隊士が沖田によって黙って粛清されたことを鑑みれば、かなりの恩赦なのです。

敵と内通して殺されたのではなく、鬼の副長と決闘して破れて死んだ方が、武士にとって名誉ある死に方といえるのです。

そうして死にかけた伊東の目には、土方や近藤をはじめとする隊士たちとの絆がはっきりと見えます

認めてほしいなら、まず自分から認めれば良かったのだという後悔とともに、世の人は駒などではなく人であり、そうした人との「同じ組織に属する」という意識や「師弟関係」「殺意」までもが絆だと、ようやく気づいたのです。

主題歌の歌詞に込められた意味

back number ソングス

back numberが主題歌を務める今回の作品ですが、その曲名は「大不正解」です。

同じ物を欲しがって

同じ時を過ごしたのが運の尽き

縁が目に見えりゃもうきっと腐ってる

出典: 大不正解/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

腐れ縁も絆のひとつなんだな」という伊東の言葉を再現するかのような歌詞です。

安い化けの皮を

噛み付き合い 剥ぎ取り合って

互いを見付けて来たんだろう

補い合うのなんざご免なんだ

さぁ好きに踊ろうぜ

暑苦しいのなんざご免なんだ

まぁ好きに呼べばいい

出典: 大不正解/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

「補い合うのはご免だ」といいながらも「好きに呼べ」という様子はまさに腐れ縁を表しています。

近藤との再会も、封じたはずの土方が気合いでチップを打ち破って伊東を助けたことも、そして最後に伊東を斬ることになることも、すべてが縁で絆なのです。

ありがとうに込められた意味

 銀魂2 掟は破るためにこそある ムビチケ 全国共通 一般 伊東鴨太郎 三浦春馬

一見すると「最期に絆に気づかせてくれてありがとう」と解釈できるこの「ありがとう」ですが、ここまでのことに注目すると他にも意味がありそうです。

武士の名誉

真選組を乗っ取ろうとした反逆者として処分することもできました。

それをしなかったのは、ひとえに「殺すなら自分が殺す」という土方の想いと、近藤の「教えを乞うた人物をただの反乱分子として処分したくない」という想いと、「同じ真選組隊士として」という真選組隊士たちの情です。

もちろん伊東派と呼ばれた他の隊士にもこうした形を取りたかったでしょうが、死者は蘇らないので伊東だけがこうした決闘という形となりました。

絆への応え

差し伸べられた手はたくさんあったのに、その手を「自分の器に見合わない、ただの駒」として切り捨てたのは自分であったことに、伊東はようやく気づくことができました。

それを気づかせてくれたのは、紛れもなく自分が排除しようとした土方です。

自分の愚かな行為に目をつむっただけでなく、こうした絆に気づかせてくれて、そして最期に自分の心を満たしてくれてありがとう。

そういう意味も確実に含まれています。

自分を止めてくれて

伊東は土方と近藤を殺害し真選組の一新を狙いました。

ただその作戦は失敗し、2人とも生き残っている上に自分に情までかけてくれました。

伊東の計画通りに作戦が成功していたら、伊東はまだ絆という「自分の心を満たすもの」に出会うことなく、腐れ縁2つをなくしていたのです。

最期に自分の心を満たして、自分の大切なものに気づかせてくれて、それを自分の手で壊さずに済んだことに対しての「ありがとう」

これが1番大きな「ありがとう」の理由でしょう。

終わりに

銀魂 2 掟は破るためにこそある

虐待やネグレクトが表在化する中で、「毒親」という言葉が浸透してきました。

毒親とは虐待や暴力を振るう親の他にも、「産まなきゃ良かった」「あんたなんかいらない」などの言葉を子どもに聞かせること、聞かせてしまうことのある親も含みます。

伊東は典型的な毒親育ちで、心の満たされないまま大人になり、承認欲求が強く出てしまった人物です。

平成の終わる時代にこの作品が公開されたのは、コメディ作品でありながらも、これからの時代に対する「親のあり方への警鐘」と、ネット社会が当たり前となった時代への「絆の重要性」を訴えているともいえるでしょう。