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2017年に公開された映画「ベイビー・ドライバー」。
たくさんの音楽が流れる本作ですが、音楽がその時々の主人公の心情を表現しているミュージカルとも違うテイストの映画です。
監督は「ショーン・オブ・ザ・デッド」などで、小規模ながら高いクオリティの作品に定評のあるエドガー・ライト。
古典ホラー映画の名作「キャリー」のリメイク版にも出演したアンセル・エルゴートが凄腕ドライバーの主人公を演じます。
「タイタンの逆襲」で長編映画デビューしたリリー・ジェームズが可憐なヒロインを熱演。
「セブン」や「ユージュアル・サスぺクツ」で知られるケビン・スぺイシーも悪党の親玉で貫録の演技を見せています。
映画のラスト。図らずも殺人に手を染めて捕まってしまった主人公・ベイビー。ヒロインのデボラは仮出所まで彼を待ち続けていました。
何故デボラはベイビーを待ち続けたのか。スぺイシー演じるドクが殺された理由と、ベイビーが逮捕された意味も合わせて考察します。
ベイビーの人柄
デボラがベイビーを待ち続けたのは、彼の人柄が関係しています。
ベイビーが金を欲しがる理由
犯罪に加担することになったベイビー。しかし、彼は決して悪人ではありませんでした。
ベイビーが金を必要とするのは、育ての親のジョーのためです。
車椅子生活のジョーを養うのは、まだまだ少年のベイビーには困難なこと。しかし、現実的に金は必要でした。
また、ドクに借金を返済して自由の身になるためにも同じく金が必要。ジョーのためにもベイビーは真面目に生きようと思っています。
ベイビーは、決して自分の私利私欲のために金を欲しがってはいません。
人を気遣う心
ベイビーのそうした人柄は、天才的なドライビングで犯罪に加担している時も描かれています。
ジョン・ハム演じるバディ。エイザ・ゴンザレス演じるダーリン。ジェイミー・フォックス演じるバッツ。
彼らが目的のためには殺人も辞さないのに対し、ベイビーはなるべく人を巻き込まないようにしています。
運転の際は車をぶつけたりと荒さが目立つ。しかし、郵便局を襲う際に人の良さそうな女性社員に来ないよう合図するなどの気配り。
こうした気持ちを持った人柄が、デボラを惹きつけたのです。
仮出所をデボラが待っていた意味
何故デボラは長い時を経てベイビーを待っていたのでしょうか。
ベイビーの孤独を理解していた
デボラが働く店は、事故で死んだベイビーの母親が働いていた店でした。
よくこの店に訪れるベイビーの姿を見て、デボラが彼が抱えた孤独を感じ取っていたことは簡単に想像できます。