つまり勘づくための第一歩目が「公園+緑のベンチ=真希」という構造だったのです。
真希の行方とその後
映画の最後の映像は、真希が荷物を持ってどこかに向かっている映像でした。
一体真希はどこへ向かい、その後どうなるのでしょうか。
違う街へ?
まずラストシーンの様子から、一番考えやすいのが違う街へひっそり消え去ることです。
映画パンフレットには、正体がバレた記憶屋は自身の存在を消す、という意味の言葉が書かれています。
とすると、やはり遼一に対して自分の記憶全てを消して、自分は違う街へ消えたということが考えられるでしょう。
ただしそうすると、これまで何度か遼一の記憶を消していることとの矛盾が出てきます。
違う街へ消えた以外には、どのような今後が考えられるでしょうか。
ひたすら続く無限ループ
パンフレットの「存在を消す」の「存在」は、真希の記憶と考えることもできます。
また、これまで何度も遼一の記憶を消しているのであれば、自分に関する最低限の記憶は残しても良いとされているかもしれません。
むしろそうでないと、これまでとのつじつまが合わず、矛盾が生じます。
つまり記憶のやり直しとも捉えられるのです。そう考えると、真希は遼一のそばに居続けることができます。
永遠に叶わない恋心ですが、遼一のそばに居続けることができ、何か改善策が見つかるかもしれません。
好きな人が「自分の記憶を忘れている」記憶のある真希は、今後もつらい思いをするでしょう。
しかし映画内で、遼一は「もしかすると」の正論を語りました。真希は、つらい記憶を抱えながらも「もしかすると」にかけたのです。
遼一と真希の数奇な関係
記憶の有無をめぐって、映画内ではさまざまな人たちが苦します。
良かれと思って消した記憶によって、他の誰かがつらい思いをしているかもしれません。
一見便利なようで、実は苦しい思いをする人が多くいることを描いた『記憶屋 あなたを忘れない』。
真希が今後救われることはあるのか、それとも、このまま救われずに終わってしまうのか、そして遼一との関係はどうなるのか。
映画で語られていない、その後の世界が非常に気になる作品です。