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山田涼介が主人公の大学生吉森遼一を、芳根京子が遼一の幼馴染である河合真希を演じた『記憶屋 あなたを忘れない』。
織守きょうや原作『記憶屋』を平川雄一朗が監督し、2020年に映画化された本作は、真希が記憶屋だったという切ない展開で終わります。
本作で最も衝撃を受け、切ない気持ちになったのは真希の放った最後の言葉でした。
一体真希の言葉の真意は、どんなものがあったのでしょう。
そして、その真希が公園のベンチに座っていると、遼一は真希が記憶屋であることに勘づきます。
真希は衝撃の言葉を告げて、ラストシーンで荷物を持ってどこかにいってしまいました。
真希の行方と今後、そして真希の発言の意図、遼一が正体に気付く要素を考察します。
真希の恋心と記憶屋
真希は遼一に自分の正体を知られると、勢い余って自分の思いを全て言ってしまいます。
守ってくれなくていい。一度でいいから、私の事を好きになって
引用:記憶屋/配給会社:松竹
このセリフの背景には、真希がこれまで隠してきた気持ちが隠されていました。
真希の罪
真希は人の記憶を消すという行動に罪悪感を持っており、遼一を「好きな人」と呼び、記憶を消していることを明かしました。
つまり真希はこれまでに、好きな人である遼一に罪悪感を感じるような行為をしているのです。
このラストシーンにおいても、結局真希は遼一の記憶を消しているように見えます。それは、記憶屋の正体を知ったままにはできないから。
何度かやった遼一への行為に、真希は「守ってくれなくていい」と思うのです。
切実な恋心
真希も年頃の、遼一に恋心を抱く一人の女性です。
しかし記憶屋として遼一が理解できない行動ををしており、ましてや遼一には他に結婚まで意識した杏子がいます。
絶対に届かない恋をしている自分自身に腹が立ったのです。
記憶屋という仕事柄他人に私情を抱いてはいけません。禁忌に触れている真希は、自分自身に嫌気がさすのです。
記憶屋としてのつらさを吐露
遼一と記憶屋は、記憶を覚えている側の辛さを知っています。
記憶屋としてのつらさを吐露してしまったのが、ラストシーンでの言葉です。
記憶屋は自分の記憶が消せない
人の記憶を消すことができるのに、記憶屋は自分の記憶を消すことができません。
しかも真希は、好きな人(遼一)の自分との記憶も消しています。
恋心を抱く相手との楽しい思い出を、自分で消すほどつらいことはないでしょう。真希は、このつらさをラストで吐露してしまうのです。
ある意味、正体がバレて記憶を「消さなければならない」時でないと、真希は本当の自分の気持ちを遼一にぶつけることができません。
遼一の記憶を消すつもりだからこそ、思い切ったことが言えるとも考えられます。