年齢もそうですが、仕事のスキルや人格面など総合力でこれ程大統領に相応しい人に間違いありません。
そしてもっといえば、2人が結婚に至ったことも決して平等ではなく時の運や環境という外力が働いています。
不平等だからこそこの世は面白く、神がかった逆転劇が映えるということを意味しているのでしょう。
演説でシャーロットがフレッドに愛を告白した心情
そんな感動的なラストの前には演説でシャーロットがフレッドに愛を告白するくだりがあります。
ここで彼女がそんな公開告白をした時の心情は何だったのでしょうか?
人目を気にしない
1つ目は「人目を気にしない」ということであり、シャーロットは自分の殻を破りました。
彼女はここに至るまで様々な敵と戦いましたが、最大の敵は「世間の目」だったのです。
国務長官・大統領という職務や肩書きで権威付けがなされ、パブリックイメージが作られます。
それがシャーロットを強くもし、また弱くもする諸刃の剣となっていたのでしょう。
つまり彼女はここで初めて「公」を大事にしつつ「私」を取った瞬間です。
本当に大事なものは人が決めるのではなく自分が決めるのだという心意気が読み取れます。
脅しに屈しない
2つ目に、チャンバースとウェンブリーからの脅しに屈しないという決意です。
このシーンの前にフレッドとシャーロットは肉体関係を持ったことを脅されていました。
しかし、2人は決して後ろめたい関係ではなく、極めて建設的な大人の交際を重ねたのです。
だから何もやましいところはありませんし、またそのことを脅される筋合いもありません。
そしてその強さを与えてくれたのは誰よりも芯の強いフレッドだったのではないでしょうか。
彼が恋愛より自分の地位が大事かと揺さぶりをかけたから、彼女は自分の意思で決めたのです。
体の声を大事にする
そして3つ目に、シャーロットは自分の体の声を大事にするという選択をしたのでしょう。
どれだけ世間体や周囲の目を考えたところで、本当に大事なものはそこにはないのです。
ダンスパーティーでもカナダの首相ジェームズよりフレッドとの関係を優先していました。
頭で考えたことは嘘をつきますが、体の反応は決して嘘をつきません。
シャーロットはその体の声に耳を傾けて、そこでフレッドへの告白を選んだのです。
意識と行動をしっかり一致させたことにこそこのシーンの醍醐味が詰まっています。
2人の恋を難しくしたもの
このようにラストは結ばれた2人ですが、その恋は決して順風満帆ではありませんでした。
2人の恋を難しくした外的要因なるものをここでは分析し、読み解きましょう。
宗教による派閥
物語前半で示されていたのは宗教による派閥の違いによる壁でありました。
フレッドは白人人種差別団体のパーティーに取材で潜入した結果ユダヤ人という理由で首になりました。
更にウエンブリーの思想が保守的であるのに対して、フレッドはリベラルな立場の人です。