母は何を思いながら「頑張った」と呟いたのでしょうか。考えられる理由は2点です。
自立できる大人になれた
母が望来に抱いていた印象は、旅に出る前はまだ子供と考えていたのでしょう。
ですが、旅に出た彼の日常を綴ったSNSアカウントを見ると、生活費を自分で稼ぐ彼の姿が見られました。
5億円の寄付金でつないだ命ですから、高校生である今は自力でお金は稼げないと考えていたのかもしれません。
望来の居場所について尋ねた際に、千春から「自力で稼いだら大人なのか」と疑問を投げかけられています。
母の中で自力で稼ぐことができた望来は大人であると認識するようになったのではないでしょうか。
昔の自分から抜け出せた
昔の望来は周りから大きな支えがあって、初めて高校生まで生き延びることができました。
周りの期待に添えるように自分を偽ってきた望来。
自分の意志で生きようと動いたことに、母は「頑張った」と呟いたのではないでしょうか。
結末の言葉に込められた真意
物語の最後に、望来は自殺しようとする千春に自分の話やお金の話を始めます。
彼は「生まれてから死ぬまでにかかる金額」と口にした瞬間にEDロールに入りますが、どのような真意があったのでしょうか。
考えられる要素は2点です。
自殺を考えている人に命の価値を知ってもらうため
この物語は望来の旅を通じてお金や命の価値を知っていく作品です。
望来は「良い子の望来」は死んだと言って旅に出て、生活するために必要なお金を稼ぐ大変さなどを知っていきました。
未成年は施設で宿泊もできずホームレスの手を借りて野宿したり、闇バイトでお金を稼いだ経験もあります。
闇バイトの失敗で生死の境を彷徨いましたし、彼は旅を経てお金や命の価値を知ることができたのではないでしょうか。
生まれてから死ぬまでに必要な金額は日本人の平均で約2億100万円で、稼ぐ金額は約2億300万円。
望来がキヨ丸に言われたように、生まれてから死ぬまでに必要な金額を稼ぐまで自殺を引き留めようとしていたと考えられます。
自分勝手に生きても良いと訴えようとしている
自殺しようとしていた千春は、最初の自殺未遂の退院での親との会話で親と不仲であることが予想できます。
母はBarを経営している様子で、父が見当たらないので千春の家は母子家庭と考えられるでしょう。
母は女手一つで彼女を育てていたので、世間の厳しさを教えるためにも冷たくしていたのかもしれません。
望来は「この世界で生きる価値はない」と見ている彼女に、自分勝手に生きてみて価値を改めさせようと考えたのではないでしょうか。
作品が訴えたいこと
命とお金の価値を旅に出ることで知る少年の話を描いた『五億円のじんせい』では、視聴者に何を訴えようとしているのでしょうか。
考えられる要素は3点です。
命の価値
この作品におけるテーマの1つと考えられる要素です。