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映画『HiGH&LOW THE WORST』は大人気シリーズ『HiGH&LOW』の中でもかなりの異色作です。

というのも『クローズZERO』のような任侠映画のテイストを融合させるという構成になっています。

役者陣も川村壱馬・志尊淳・山田裕貴といった若手のイケメン俳優が中心です。

そのためどうしても世界観や物語が軽く見えがちになってしまうのではないかと危惧されていました。

しかし、アクションはもちろんのこと物語・キャラも含めて非常に完成度の高い作品です。

DVD・Blu-ray共に豪華版や先着特典も充実しており、結果としては大成功を収めています。

鬼邪高校と宝仙学園の対立からラストの壮大な種明かしまで見る側を飽きさせません。

本稿では鬼邪高校と凰仙学園が対立する理由を中心に考察していきましょう。

またドラッグが横行していた理由なども併せて考察していきます。

不良漫画版”東映まんがまつり”

マジンガーZ対デビルマン

本題を考察する上で欠かせないのは”東映まんがまつり“という文化です。

東映には昔から「マジンガーZ対デビルマン」など自社の看板作品同士をコラボさせる企画がありました。

現在ではそれがスーパー戦隊と仮面ライダーの春映画での共演という形で継承されています。

本作はそれを不良漫画の世界観で思い切ってやってみようということではないでしょうか。

こうしたスター同士の夢の共演はヒーロー作品だけがするものだという暗黙の了解がありました。

そのお約束を今度は不良漫画の文脈でやってみようという大胆な試みがなされているのです。

高橋ヒロシさんの原作漫画は勿論それを実写映画として破綻なくまとめた久保監督の手腕も光ります。

それ故に新しい作品でありながらもどこか昔懐かしい不思議な作品となっているのです。

鬼邪高校と凰仙学園が対立する理由

対立

本作の見所といえば何といっても鬼邪高校と凰仙学園が火花を散らして対立する流れです。

思わず手に汗握る流れとなっていますが、何故彼らは争わなければならないのでしょうか?

密売グループの仕業

麻薬

結論からいえば、これは麻薬密売組織・牙斗螺(きどら)の仕業でした。

確かに鬼邪高校と凰仙学園はどちらも凄まじい力を持った不良グループでしたが棲み分けは出来ています。

メンバーの個性重視の鬼邪高と上田の圧倒的なカリスマ性による統率力でまとまっている鳳仙学園。

黒の学ランとグレーのブレザーという点でも非常にしっかりと色分けがなされていて美しい対比です。

両校とも決して無益な争いは好まない人達であり、お互いどこかで一目置いています。

そんな彼らが個人的感情のもつれから抗争に至るわけがなく大きなきっかけがないと無理でしょう。

そのきっかけとして麻薬密売組織を持ってくるというのは非常に納得の行くものでした。

鬼邪高校の派閥争い

2つ目の原因となっていたのは鬼邪高校の派閥争いでした。

定時制グループは村山を中心にまとまっていましたが、全日制が4つの派閥に分かれていました。

そのような内輪揉めにより統率が取れていない状態が1番危険で敵に付け入る隙を与えます。

しかもそこに転校生の花岡楓士雄が1年ぶりに舞い戻ってくるという想定外の出来事が発生したのです。