本作は、ゆにの感情を理解出来るか否かがキーポイントになっています。
ゆにの感情は他人にはなかなか伝わりません。
親友の名波やハルカがゆにの理解者であり、明智はゆにの行動から彼女の心理を読み取っています。
ゆには個性的な少女ですが、そんな彼女を理解出来るのはゆにを想う心があるからなのです。
ハルカがゆにを観察し彼女を理解出来たのも、ゆにを想うがゆえなのではないでしょうか。
香水がいい匂いに感じた理由
ゆには苦手な香水の匂いを突然いい匂いだと表現しました。
なぜ香りの感じ方が変わったのでしょう。
素直な気持ちになれた
自分の気持ちに素直になれなかった当初のゆには、偏見でものを見ています。
ツンデレでなんとなく嫌いな先生だから、彼の付けている香水も苦手だったのでしょう。
しかしゆにはハルカの優しさに触れ、自分の本当の心に寄り添えるようになったのです。
もっと気持ちに素直になれよ
引用:近キョリ恋愛/配給会社:東宝映像事業部
ハルカの言葉は、暖かくゆにを包んだことでしょう。
もしかしたらその言葉をいって欲しかったのかもしれません。
だからこそ、ハルカの付けている香水がいい匂いと感じたのです。
考察すると、元々香水はゆにの好きな匂いだったのかもしれません。
恋をしたから
ゆには自分の感情を理解していませんでしたが、香水をいい匂いと感じた時点でハルカに恋をしていることを示唆しています。
好きな人が付けている香水だから、いい匂いに感じたのです。
それまで嫌いというレッテルを貼っていたから、彼の香水が苦手だったのではないでしょうか。
監督はここで絶妙な表現を使い、恋心を伝えています。
青い夕日の写真の真意
ラストシーンでゆには青い夕日の写真を見せていますが、そこには彼女のどんな想いが隠されていたのでしょうか。
父親は嘘つきじゃないことを示したかった
青い夕日が本当にあることを知ったゆには、ハルカの父親が嘘つきではないことを証明したかったのでしょう。
きっとハルカの父親は不器用で、気持ちを上手く伝えられなかったのかもしれません。
ゆにはどこかで、そんな父親に共感する気持ちがあったのではないでしょうか。
同時に嘘をつかれていた、というハルカの心の傷を治してあげたかったのでしょう。
愛するが故の嘘があることを伝えたかった
ゆには、父親が家族の為に嘘をついていたことをハルカに伝えたかったのでしょう。
父親はただの嘘つきじゃなかった、彼の作り話は家族を想っての優しい嘘だったのです。
青い夕日の写真は、彼がただの嘘つきではないという証拠になりました。