ハルカは写真に写った夕日から父親の愛、そしてゆにの愛を感じたはずです。
本当の気持ちを伝えて欲しかった
ハルカは、劇中で青い夕日の話をした後に下記のように気持ちを伝えていました。
おそらくゆには、青い夕日の写真を彼に見せることであの時の言葉を思い出してほしいと思ったのでしょう。
嘘は嫌いなんだ…
卒業したら結婚しよう
引用:近キョリ恋愛/配給会社:東宝映像事業部
ハルカのついた嘘を指摘したのです。
彼の本心を聞きたいという気持ちも、青い夕日の写真に込められていたのかもしれません。
ゆには成長しハルカの愛が理解出来た
やっぱり子供だな
結婚はやめよう…おわり
引用:近キョリ恋愛/配給会社:東宝映像事業部
ハルカの上記の言葉に傷つき恋の終わりを覚悟したゆにですが、この時の彼女はまだ何も知らない状態です。
大好きな人に突然こんなことをいわれたら、誰しもが恋の終わりを感じるのではないでしょうか。
そして、この言葉を選んだハルカはゆに以上に辛かったはずです。
本当に愛していたから、別れを告げることが出来たのでしょう。
ラストシーンで自分の為についた嘘だとゆには伝えていますが、この言葉もなかなかいえるものではありません。
彼女がハルカの人間性を信用し、理解しているから言えたのではないでしょうか。
原作と違うハルカの愛
原作での桜井ハルカは、映画よりもチャラチャラしたイメージで描かれています。
海辺でのプロポーズも本気ではなく、なんとなく一緒にいようかといったニュアンスに描かれていました。
映画ではハルカの本気度が伝わりますが、原作では恋を恐れるがゆえにチャラチャラしているような印象です。
ゆにを好きになっていく彼の心境も、映画とは違い原作では徐々に好意を持っていきます。
映画の要点をしめるハルカの父親像も原作と映画では異なり、ハルカ自身の性格にも大きく影響しているのです。
また映画ではハルカがツンデレ教師でしたが、原作ではゆにがツンデレ女子高生の設定です。
『近キョリ恋愛』は、原作と映画を比較して観ても面白いのではないでしょうか。
人を想う心に触れる映画
『近キョリ恋愛』は、人を想う心が巧みに描かれていた作品です。
自分の感情を上手く表現できないゆにや、父親の嘘がトラウマになっているハルカ…。
気持ちは目に見えないものですが、本作品は観る者が彼らの心を想像しすれ違いを切なく感じることが出来ます。
ただのラブロマンスに収まらない奥深さを感じるのではないでしょうか。
熊澤尚人監督らしさの溢れた映画といえます。