そして、ルイが昏睡状態の時も怪物の姿となってもルイの前に現れました。
その交流の中で、母とは違う家族の愛を知るルイ。現実には、ルイにはまだ祖母のヴァイオレットがいます。
ルイは今度こそ愛を宿した人生を送るでしょう。
生まれてくる兄弟のため
もう一つの理由が兄弟のためです。
事件発覚後、ナタリーに面会したパスカルにが見たのは妊娠した彼女の姿。いずれ生まれるルイの兄弟。
ナタリーはこれからも、ルイにしたことをその兄弟に行うでしょう。
そして、かってのルイがそうだったゆに歪んでしまう可能性がある。それを止めたい。
そのために、ルイは目を覚まして生きることを選んだのだと考えられます。
パスカルの未来に待つもの
本作のもう一人の主人公である医師のパスカル。映画では悲惨な末路を辿る彼ですが、その未来はどうなるのでしょうか。
結果だけ見れば、救いのない今後を送るように感じられます。
しかしこれまでナタリーに接してきた男達と違い、既にナタリーの本性は知られていますしルイもいる。
パスカルがピーターと同じように生まれてくる息子を愛せば、彼も人生を取り戻せる可能性はあります。
ここにも、ルイが目を覚ました意味があるとは考えられないでしょうか。
本作が伝えるもの
「ルイの9番目の人生」に込められたメッセージは何だったのでしょうか。
血の繋がりより大切なものもある
様々なジャンルで語ることができる本作。しかし、メインとなる柱はルイとピーターの親子の繋がりです。
この二人には血の繋がりはありません。ですが、実の母であるナタリー以上にピーターはルイを愛しました。
家族にまつわる悲惨な事件も多い昨今。それは本作もそうですが、時には血の繋がり以上に大切なものがあると本作は伝えています。
ナタリーのような同情を引くだけの我が儘な愛は、本当の愛には勝てないのです。
見た目だけが全てではない
もう一つが、見た目だけが全てではないということです。ナタリーはその境遇と供に、その美貌をもって男達を次々と虜にしていきました。
パスカルと一線を越える時の妖艶なドレス姿はまさにその象徴です。しかし、同じ女性であるダルトンやヴァイオレットは違った。
このことから本作は男達への皮肉なメッセージを語ると供に、ルイとピーターの絆のように見えていた光景だけが全てではないことを伝えているのです。