正光がただの親切な人ではないことを知ってしまったのです。

また他の赤猫座のメンバーに高圧的に振舞う正光の姿に、みどりは恐怖を感じました。

確かに正光のお陰で女優になれたみどりですが、それも正光の魔法があってのことです。

このままでは正光の人形同然で、彼の機嫌を損ねればいつ自分も酷い目に遭わされるかわかりません。

そのため正光の力を封じる意味で、みどりは正光に魔法をねだりました。

みどりに潜む悪意

悪意 (講談社文庫)

その上でみどりには明確に正光を殺害する意思があったことを伺うことができます。

ワンダー正光が赤猫座で力を持ち始めると、みどりは正光の妻を気どって他のメンバーに強い態度を取るようになりました。

しかし正光の独善的で邪悪な部分を見てからは、それまでの認識を改めることになります。

正光のいいなりになりながらも、みどりは正光の存在を都合よく利用していました。

そのためラストで正光が用済みになったので、魔法を奪って殺害したとも考えられます。

二人の関係は、お互いが依存すると同時に利用し合っていたいびつな関係でした。

ワンダー正光がみどりに執着する理由

ワンダー正光がみどりに執着する理由は何だったのでしょうか。

圧倒的な孤独

孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか (河出文庫)

魔法、あるいは超能力とも呼べる力を持つのが正光です。しかしそれは、使い過ぎるとその効果が自分に返ってくるものでした。

他人にはない力を持つ故に、正光が孤独な生涯を送ってきたことは容易に想像できます。

他の赤猫座のメンバーもその力に疑いを持ちますが、みどりは正光に懐きました。

つまり薄幸な立場のみどりの状況を良くしてやることで、自分の虜になると正光は考えたのです。

それは持って生まれた力ゆえに、理解者のいない正光には心から欲しいものでした。

ですがそれは緑を人間としてではなく、思い通りに動く道具として見ることを意味していたのです。

自分の思い通りにしたい欲

我欲 【単話売】 (OHZORA ご近所の悪いうわさ)

赤猫座のメンバーへの高圧的な態度からわかるように、正光は独善的な人間です。

そのため何としても、自分がしたいと思ったことをやらなければ気が済みません。

みどりに必死に執着したのも、それをしなければ気が済まない部分もあったのでしょう。

自分の思い通りにならないということが、正光は何より許せなかったのです。

そういう意味で正光はみどりという「人間」を見ておらず、みどりは正光の都合のいい玩具でした。

それがしっぺ返しとなってラストで正光に降りかかります。

正光が本当に欲しかったもの

愛情

ある村の村人全員を殺害した過去を持つ正光。何が彼をそんな行動に掻き立てたのか。

恐らく調子の悪かった時に村人に嘲笑されたことが腹に据えかねたのだと考えられます。

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