それは独善的な正光の性格からすれば我慢ならないこと。
逆に考えれば、正光は常に自分を認め絶対に裏切らないものを求めていたと言えるでしょう。
正光のそのターゲットに選ばれたのがみどりだったのです。
しかし正光の誤算はみどりが正光の思っていたほど純粋な存在ではなかったことです。
みどりが正光と同じくらい狡猾な一面を兼ね備えていたことでしょう。それがラストの悲劇に繋がります。
みどりが女優であることに飽きた理由
あれほど憧れていた女優をみどりは何故飽きてしまったのでしょうか。
目的が果たされたから
みどりにとって女優になることは目標でした。
しかし独善的なみどりは、女優になってその後どうしたいかを考えていませんでした。
みどりの中には、他人を思う気持ち以上に自分のことしか考えていない気持ちでいっぱいです。
そのため女優になってしまった時点で目的が果たされてしまい、それ以上やることが無くなってしまったのです。
だからこそ呆気なくみどりは女優に飽きてしまいました。
自分の力ではないから
もう一つの理由として考えられるのが、女優になったのは自分の力ではないということです。
台詞が出てこない時もワンダー正光に助けられみどりは台詞をいうことができます。
しかしみどりは何の努力もしていないので、それはみどり自身の力ではありません。
自分自身の努力の過程がないものに人間はやりがいを見出すことができないのです。
そのためにみどりは女優という仕事にあっという間に飽きました。
努力することをみどりが知ればまた違う道があったことでしょう。
映画を鑑賞した後は原作も
「少女椿」の原作は1983年から1984年にかけて「漫画エロス」にて連載されました。
元々は昭和初期に「不幸な少女が色々な経験をして最後に幸せになる」という展開の紙芝居があり、それを漫画としてアレンジした形です。
映画と漫画では異なっている部分も存在し、特にラストは両作で異なるものになっています。
本作は決してハッピーエンドとはいえないでしょう。
しかしその独特の色を持った世界観と、禍々しいながらも人間臭さを感じさせるキャラクターたちは人を惹きつける不思議な魅力に溢れています。
映画を観て、元々がどんな物語だったのか知りたい方は是非原作もご覧になってはいかがでしょうか。