出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00FCAS898/?tag=cinema-notes-22
【闇金ウシジマくん】は同名のコミックを劇場映画化したものです。この作品を皮切りに次々と続編が作られることになりました。
闇金という裏社会のビジネスが舞台設定です。
金を貸す者・借りる者、金の意味を知る者・知らぬ者それぞれが金にまつわる人生を生きていきます。
最後に欠けがいのない人のこころの暖かさに気づいた純の末路は哀れです。
もう少しで金のために自分の人生を台無しにしてしまいそうだった未來は本当に大切なものに気づきました。
冷酷な闇金の世界を描きながらも、一方でこの作品は金に翻弄されがちな我々に何かを告げているかのようです。
純の末路
それにしても「もう少し何とかならなかったのか」と考えたくなる純の末路です。
彼があのような哀れな最期を迎えざるを得なかったのはなぜなのでしょうか。
若者が夢を追いかけるためには犠牲にしなくてはいけないもが確かにあります。
純が追いかけた夢やそのために失った大切なものとは何なのか考察してみましょう。
純は何を求めていたのか
純のような上昇志向の若者はたくさんいます。この世界の未来はそのような夢を実現しようとする若者によって築かれるのかもしれません。
そしてその夢を実現するためには現実として金が必要になってくるのです。
純は華やかなイベント界で彼のいう人的ネットワークを築いてきました。彼はそれを自分の大きな財産だと考えています。
この人的ネットワークに金をプラスすれば自分はビッグになれると信じているのです。
純のネットワークとは
純が自慢する人的ネットワークの実態はどのようなものだったのでしょうか。
確かに街を歩けば皆純を知っていて声をかけてきます。携帯のアドレス帳には何千人ものアドレスが登録されています。
でもそこに登録されている彼・彼女たちはどの程度純との信頼関係を築いているのでしょうか。
純の命がけの求めに対してもそのネットワークは機能しませんでした。
彼のネットワークとは単に利害関係だったり、貸し借り関係などでつながっている脆弱なものだったのです。
一方のウシジマくんを巡る人的つながりの強固さとは雲泥の差といわざるを得ません。
純を見捨てたウシジマくん
純が最後に頼み込んだ友人や肉親は彼を見捨てるか・愛想を尽かしたにもかかわらず未來は純の力になろうとしました。
そんな未來の申し出をすげなく断った純のこころはどうだったのでしょうか。
純はこのとき始めて他の友人たちとは違う未來の本当の優しさに気づきました。
二人はもしかしたらこれまでとは全く違う豊かな人間関係を築き上げることができた可能性があったのです。
でもとき既に遅しでした。
未來の優しさを受け止め、彼女のために申し出を拒否した純をウシジマくんは許すことはなかったのです。