ウシジマくんにとっては非常にヤバイ状況でしたが、彼は逆に肉蝮をやっつけることができたのです。
そこには仲間たちの力がありました。
千秋は非力な女の身でありながら近くにあったパイプ椅子で肉蝮に挑み、ウシジマくんの危機を救います。
高田や柄崎もウシジマくんが危ない局面で肉蝮の攻撃をそらすようウシジマくんに助力しました。
ウシジマくんたちは非常に強い絆で結ばれていたのです。これが単に金で雇われた一匹オオカミの肉蝮との大きな違いでした。
いわばウシジマくんたちはチームの力で肉蝮を圧倒したといえます。
千秋を車から降ろしたわけ
ウシジマくんが千秋を車から降ろした時点で、彼は純に犯罪的行為を課すと決めていたのです。
かたぎの仕事に就く千秋をこのような行為に加担させてはいけないとのウシジマくんの配慮でした。
ここにウシジマくんたちのチーム力の強さの源泉が見て取れます。
貸し借り関係とか金だけの結びつきでは得られない人と人との信頼関係と思いやりに基づく絆がこのチームにはありました。
近くに交通機関の駅もない道路に一人降ろされた千秋が途方に暮れるのはチョットしたご愛嬌と考えましょう。
闇金は必要悪か
明らかに違法と思われる恐喝的な債権回収が当たり前のように行われます。
返済できそうもない暴利にもかかわらず金繰りに行き詰まった色んなタイプの人たちがウシジマくんたちに金を借りに来るのです。
このような闇金は必要とされているからこそ現実に存在しているとしか考えられません。
あくどい闇金ビジネスに携わるウシジマくんの心境はどのようなものなのでしょうか。
ウシジマくんの拠り所
ウシジマくんは誰よりも金を稼ぐことの大変さと金そのものの意味を知り尽くしています。
「金は奪うか奪われるかだ」とうそぶきながら、彼は金に翻弄される愚かな人たちにつけ込んでいるように見えなくもありません。
でも貸した金をどのような手段を講じても回収するという行為を通じて、彼は安易に金を借りてしまうことの怖さを知らしめているのです。
また節度を持ったマネーマネジメントができない人たちは、いずれ何処かで身を持ち崩すと割り切っている節も伺われます。
金とこころ
出会い系カフェで安易に金を稼ぎ出す未來を見て、ウシジマくんは彼女のこころが削られていくことを予言します。
世の中には金で買えるものと金では買えないものが存在するのです。
一度金のために手放した人としての尊厳や誇りなどは金で買い戻すことが極めて難しいといわざるを得ません。
逆説的な見方をすれば、闇金のような存在が金よりも大切なこころの存在を人々に気づかせる役割を果たしているともいえるのです。
金とこころの本質に迫る【闇金ウシジマくん】
彼自身は何を目指しているのでしょうか。
うがった見方をすれば、彼は金とこころの本質を問いかける伝道師のような存在かもしれません。
また金のためにこころを売り渡してしまった人たちを断罪する閻魔大王のような存在ともいえます。