出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B089R42WH8/?tag=cinema-notes-22
『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』は2017年に日本で上映された邦画です。
題材は料理番組『料理の鉄人』を手がけた演出家・田中経一が著者の小説『麒麟の舌を持つ男』が原作となっております。
この作品は現代と昔で話が交互に展開されており、現代の主人公は食べた味を記憶して再現できる最期の料理人・佐々木充です。
昔の主人公は満州国の料理人・山形直太朗で、彼が考えたレシピを再現して欲しいと佐々木に依頼が来たことから物語は始まります。
佐々木は紛失したレシピを再現するために山形直太朗のことを調べていき、とある事実に辿り着くというのが物語の流れです。
ここでは紛失したレシピが呪われている意味、山形の助手についていた鎌田が料理の練習を重ねた理由を主に考察していきます。
なぜ楊晴明は佐々木に店を開く気はないかと尋ねたのか
佐々木に『大日本帝国食菜全席』を再現して欲しいと依頼した楊晴明は、彼と初対面時に「店を開く気はないか」と尋ねる場面があります。
依頼する目的のことを考えると、再び店を開くか開かないかを聞く必要はないはずですが、なぜでしょうか。
考えられる要素は2点あります。
昔の山形直太朗と同じようになっていないか
再現するレシピ『大日本帝国食菜全席』を考えた料理人・山形は、佐々木の祖父にあたります。
依頼人の楊晴明は山形の親友であり、『大日本帝国食菜全席』作成に携わった仲間でした。
彼は山形が他人を信じずに料理を作ってきた時期を目の前で見ています。
孫の佐々木が、以前の彼と同じようになっていないかを確認したかったと考えられないでしょうか。
失敗した要因に気が付いているか
楊晴明は、依頼する前に佐々木の友人である柳澤から店を開いては失敗したと聞かされている可能性があります。
この際に彼が徹底した料理を作ろうとしていたことも聞かされていると考えられますが、佐々木本人が気付いているとは限りません。
確認のために楊晴明は「店を開く気はないか」と聞いたのではないでしょうか。
そして彼は「もううんざりだ」と答えているため、楊晴明は「気付いていない」と感じたように考えられます。
なぜレシピは呪われていると言われたのか
本作中盤から『大日本帝国食菜全席』は呪われているレシピだと称されるようになりますが、なぜでしょうか。
考えられる要素は2点あります。
関わった人が不幸になっていくから
『大日本帝国食菜全席』の作成や利用を考えた人たちには、思いがけない不幸が降りかかっています。