クゼの中にはヒデオだった彼や素子の記憶が残されていました。
クゼがハンカ社によって実験台にされ、記憶は消去されたはずではなかったのでしょうか。
なぜクゼに記憶が描かれていたのか、その謎に迫ってみましょう。
クゼはハンカ社の失敗作なのか
クゼもミラが受けたサイボーグ化施術を受けた多くの実験体の一人でした。
ハンカ社はクゼの脳とその入れ物であるシェルとの相互接続性に問題があると判断してクゼを廃棄処分にしたのです。
しかし実際にこのプロジェクトを現場で進めていたのはオウレイ博士でした。
彼女は全面的にクゼのサイボーグ化を失敗と認めていたかどうかは疑問があります。
彼女は過去の記憶が残ったクゼの脳をそのままの状態にしてクゼを解放した可能性があるのです。
クゼが構築したヒューマンネットワーク
クゼはハンカ社から解放された後、独自のネットワーク社会を構築しました。
彼はそのネットワークを十分に活用できる立場にあったのです。
ハンカ社によって消された自分の過去の記憶をネットワークから再獲得できたのかもしれません。
彼はロボットを使って人の脳をハッキングすることもできました。
これらの手段を駆使すればハンカ社の情報やに加えて、自分自身の過去の記憶を取り戻すことはさほど困難ではなかったはずです。
オウレイ博士が与えた薬
クゼはオウレイ博士がミラに与える薬が過去の記憶にベールを張ることを知っていました。
彼はミラにその薬を使うなとアドバイスしたではありませんか。
であれば彼は自分にも処方された記憶を曖昧にするその薬の正体を見抜いていた可能性があります。
ミラと出会う前にその薬に対する対応措置を講じていたのかもしれません。
ハンカ社とオウレイ博士
オウレイ博士にとってハンカ社はどのような存在だったのでしょうか。
人間としての良心が残っていたであろう彼女がなぜハンカ社の非人間的なプロジェクトに全面的に協力したのか。
その背景には何があったのか探ってみましょう。
オウレイ博士はミラの見方だったのか
サイボーグ化施術後目覚めたミラを笑顔で見つめる博士の顔は我が子を見るようでした。
博士にとってはミラだけでなく、このプロジェクトの被験体となった多くの者は自分が産み落とした子供ような存在だったのかもしれません。
彼女は自分が取り組んでいるこのプロジェクトは来たるべき未来の人間社会を創造するための必要不可欠なステップだと考えていたはずです。
博士は自分の正義を信じていたのでしょう。
そんな博士にとってミラは未来の希望であり、自分の子供のような存在だったのです。
だからハンカ社によって記憶を消され廃棄処分にされようとするミラに過去の記憶を蘇らせるヒントを与え、逃がそうとしたのでしょう。
オウレイ博士がハンカ社に協力したわけ
オウレイ博士はハンカ社を利用して自分の研究プロジェクトを実現したかったのでしょう。