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2017年にアメリカで公開され、瞬く間に全米で人気を博した話題作「ゲット・アウト」。
ホラー映画に分類されますが、内容的にはホラーにとどまらずメッセージ性のとても濃い作品になっています。
本作品は前半からアーミテージ家の正体を暗示する伏線が多く隠されています。
張り巡らされた伏線をたどりながら、催眠術がどこから始まっていたのかを考察していきましょう。
正体は名前に隠されていた
アーミテージ家の正体を現す伏線として、まず最初にローズの母親である「ミッシー」があげられます。
日本ではあまりなじみがないもので、アメリカでも深く浸透している訳ではないのですが、Missyには深い意味があります。
それはMistress of a slave-holding、つまり奴隷を使用している主婦という意味の名前というわけです。
差別に敏感なクリスなら、あるいは何かを感じていたのかもしれません。
正体を暗示する行動
劇中アーミテージ家の異常さをなんとなく感じとることが出来ます。
結末を知ってから観返すと、それらは全て彼らの犯行の伏線となっているのです。
ローズの警察官に対する怒り
序盤でクリスにしつこく身分証の提示を要求する警察官に対し、ローズが頑なに抗議していました。
これは一見、黒人への差別に怒りをぶつけているようにも取れますが、これも大きな伏線となっています。
クリスの足取りを消すために、警察に免許証を提示することは出来なかったのです。
もしここで警官が無理にでもクリスの免許書を確認していたら、クリスがアーミテージ家へ入ることはなかったでしょう。
ジョージナの不気味な泣き笑い
使用人であるジョージナは、クリスの前で涙を流しながら笑っています。
意味深すぎて怖いシーンですが、使用人であるにも関わらず下記のように発言しました。
私は誰の下でもないわ
引用:ゲット・アウト/ユニバーサル・ピクチャーズ、東宝
このセリフには違和感を感じずにはいられません。
また彼女はこのようにもいっています。
彼らは私たち(使用人)を家族のように扱ってくれる。
引用:ゲット・アウト/ユニバーサル・ピクチャーズ、東宝
これらはすべて体に入っているのが白人の祖母であるための台詞です。
ジョジーナに残った彼女自身の人格が、涙を流していたのです。
ウォルターの全力疾走
ウォルターが一番目立つシーンといえばやはり、夜に一人で全力疾走をする場面でしょう。
実はこのシーンには、ウォルターの正体が端的に現れています。
彼が走る練習=陸上の練習をするのは、彼の中に入っているのが陸上選手であった祖父であるためです。
黒人のジェシー・オーエンスに敗北した祖父は、体躯の良い黒人の体を使い夜な夜な練習をつづけているのでした。