そして自分の気持ちを馬村に悟られたすずめが、申し訳ないという気持ちでがっくりした……、のかも知れません。
言葉の力は大きいというメッセージ
馬村と獅子尾という二人の男性を通して、本作では気持ちを伝える「言葉」の大切さを問いかけています。
馬村は自分の気持ちをストレートにすずめに伝えていますが、獅子尾は本心を隠してしまいます。
獅子尾がすずめを愛しているというのは観る者の視点であって、すずめの視点ではありません。
すずめの視点から見たら、獅子尾は自分への愛が冷めた男性です。
うそだ。私はいまさらそんな言葉信じない
引用:ひるなかの流星/配給会社:東宝
すずめの視点で映画を観ていくと、獅子尾に上記のようにいった気持ちが痛いほど理解できます。
自分を一度振った癖に何を今さら言っているの、という怒りすら感じますね。
自分の心に嘘をついてきた獅子尾の言葉は、価値が軽いものとなってしまったのです。
一方、すずめの心に響いたのは一貫してストレートに想いを口に出していた馬村の言葉でした。
星のような存在が理想
すずめは獅子尾をひるなかの流星に例えました。
そして馬村とは星のような存在になりたいと締めくくっています。
ひるなかの流星が意味するもの
タイトルにもなっている「ひるなかの流星」は、すずめにとってなくてはならない特別なものです。
初恋があなたでよかった
引用:ひるなかの流星/配給会社:東宝
獅子尾に告げた上記の台詞は、初恋の思い出を永遠に大切にしていくという気持ちを含んでします。
ひるに偶然見ることのできる流星は、瞬時に心を震わせ脳裏に焼き付きますが一瞬で姿を消してしまいます。
ひるなかの流星は、獅子尾でありすずめの大切な初恋そのものです。
まるで夢を見ていたかのような、あっという間の初恋だったことでしょう。
ひるの星のような存在
いつもずっと側にいて、その手を笑顔をあなたのぜんぶ
何年後も一番近くで見てるから
君にとっての
昼日中の星のような そんな存在に
引用:ひるなかの流星/配給会社:東宝
映画の締めくくりの台詞は、馬村を選んだ理由であり本作品のメッセージでもあります。
すずめが選んだ相手は、いつも側にいてくれる人でした。
ここでの側とは物理的な距離のことではなく、心の距離のことを指しています。
自分の中を一瞬で抜けるような恋ではなく、ずっとそこにいる星のように、ずっと側で見守ってくれる存在……。
ずっと心を寄せてくれる人が自分を幸せにしてくれる人なのです。
素直な気持ちで恋愛しよう
「ひるなかの流星」は三角関係に悩むすずめを通して、恋人の本質を訴えかけています。
流星のように現れた憧れの男性と、いつも心を寄せてくれる男性の存在は「恋人」というものの本質を投げかけていました。