相変わらず心優しいピーターですが、特に消極的で引っ込み思案だったトビー・マグワイアとは比べ物にならないくらいの社交性があります。
主人公の性格の違いも、これまでの作品とは違う点です。
時代にあった要素を取り入れることで、新しいファン層の拡大にも繋がったのではないでしょうか。
大きな設定の変更点とは
メイおばさんの年齢
これまでの作品を見てきた方はピーターの育ての親であるメイおばさんの若さに驚いたことでしょう。
育ての親というだけあって、メイおばさんはこれまでピーターの母か祖母くらいの年齢の女性でした。
本作ではピーターと年の離れた姉弟といっても通じそうな年齢差です。
ピーターの行きつけのパン屋さんや親友のネッドまで口を揃えて「美人」という彼女。
まだ、ピーターの正体には気づいていないようですが、続編ではどうなるのでしょうか。
序盤のストーリーはバッサリと削られている
「スパイダーマンになった経緯」「ベンおじさんの死」など本作では過去作で語られてきた重要なプロローグが存在しました。
思い切ってバッサリとカットされて描かれてはいません。
ピーターの口からそれとなく語られるのみです。
これについては往年のファンからは「また同じ話を見なくて済んだ」と好評な部分です。
ただ「ベンおじさんの死」はピーターの成長に関わる大きなエピソード。
「大いなる力には、大いなる責任が伴う」ということを学んでいない彼は様々な失敗をしてしまうのです。
しかし、育ての親でありキーマンの「ベンおじさん」に代わる存在としてあのヒーローが本作には登場します。(後述)
アイアンマン(トニー・スターク)との関係性
親子のようでもあり師弟のようでもある
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(以下シビル・ウォー)』よりMCUに登場したスパイダーマン。
当初はアイアンマンことトニー・スタークの助っ人としてスカウトされた形でした。
「シビル・ウォー」では大富豪で天才発明家のトニーに憧れるピーターといった一方的な関係でした。
『ホームカミング』で二人の距離は少し縮まったように見えます。
無鉄砲な行動をするピーターを諫め、叱り、時には過保護になる…。
年齢差から親子のような関係にも見えるトニーとピーターですが、ヒーローとしては師弟ともいえるでしょう。
ベンおじさんの代わりに、トニーは「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という事をピーターに身をもって示しているのです。
『アベンジャーズ』を始めとしたMCU作品ではヒーロー同士の関係性も見どころの1つ。
ベンおじさんに代わるポジションにトニー・スタークを据えたことで、本作はMCU作品としての「面白さ」を見事に実現しています。
また、このトニーの技術によって「スパイダースーツ」がハイテク仕様になり、過去作になかったような機能が登場。
「カレン」というAIも搭載されており、ピーターとの掛け合いが愉快です。
何の力もなかったピーターが、己の使命に気が付き成長していく様子が描かれるシーンが多く、師弟関係以上の絆も垣間見えます。
自分の指針となる人物がベンおじさんからトニー・スタークに変わったことで、ヒーローとしての自覚や責任の負い方にも変化がありました。
特にトニー・スタークに早くヒーローとして認められたいという気持ちが伝わってくるのも、若さゆえの青春を感じられる要素でもあります。
失敗もたくさんしていく過程も、映画を観ている側は先が読めるからこそ、ちょっとした親心的観点で楽しむことができるのではないでしょうか。