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1978年公開の『インテリア』はコメディ作品を中心に作ってきた名匠ウディ・アレンが初めて挑んだシリアス作品です。
富豪達が居を構えるロングアイランドでおこる家族のすれ違いと崩壊が見事に描かれています。
イヴを死に駆り立てた要因は何だったのでしょうか。
劇中で精神を病んでいたのは誰だったのか……、イヴと三姉妹にフォーカスを当てて『インテリア』を深く考察していきましょう。
ガス自殺、イヴを死に駆り立てた要因
完璧主義者のイヴは、なぜ死に駆り立てられてしまったのでしょうか。
まずは1度目のガス自殺を考察していきます。
完璧主義が自殺を引き起こす
完璧主義のイヴは、仕事を高クオリティでこなすスーパーウーマンです。
しかし完璧主義は精神疾患のひとつ、といわれているようにイヴは元々不安定な精神を持っていたのです。
これまで自分に従ってきた夫の反発や自分の思い通りにいかない娘達が、彼女の精神を更に不安定にさせていたのでしょう。
挫折が自殺の原因
完璧主義の人は挫折に弱いといわれており、大きな挫折は自殺に繋がる可能性が高いようです。
劇中のイヴはまさにこの状態です。
全てが自分の思うようになっていた完璧な世界に生きてきた彼女は、その世界が崩れた瞬間に心も崩れてしまったのでしょう。
アーサーの気を引きたい
アーサーと会った日の夜に彼女はガス自殺をしています。
深読みすると彼女の奥底にはアーサーの心に映りたいという想いがあったのかもしれません。
それが本当の愛なのか、彼女の支配欲なのかはわかりませんがイヴはアーサーの心を自分のものにしたいと願っていたはずです。
自ら死を選ぶことでアーサーが自分のことを深く心に刻むだろう、と考えたとも考察できます。
イヴを海(死)に駆り立てた要因
イヴは2度目の自殺でその命を落としてしまいます。
この時彼女を死へ駆り立てたのは何だったのでしょう。
アーサーとの復縁が絶望したから
正式に離婚したい
引用:インテリア/配給会社:ユナイテッド・アーティスツ
教会での上記のアーサーの告白は、イヴを半狂乱にさせました。
そして離婚を急ぎたがるアーサーの心に、新たな女性が存在していることを察したのです。
アーサーとの復縁がイヴにとって自分の望む完璧な世界の復元図でした。
それが不可能だと理解した時、自分の生きる世界はないと感じたのかもしれません。
完璧主義ゆえに100か0という選択肢しか出来なかったではないでしょうか。
完璧主義のプライドが打ち砕かれた
自分にも完璧を求める彼女は精神病院へ行ったことも、ガス自殺をして助かったことも辛い経験だったはずです。
そしてアーサーは彼女の主治医と知らぬ間に会っていました。
イヴにとっては主治医にも裏切られた気分だったはずです。
完璧な存在でいたい彼女のプライドは粉々に打ち砕かれたことでしょう。
自分の世界が壊された
ビーチハウスを訪れたイヴは彼女の作った世界が壊されているのを目の当たりにします。
しかも自分ではない女性がアーサーと結ばれ、娘達はそれを祝福していたのです。
もしも自分がイヴの立場だったら、この光景はあまりにも辛すぎますね。