雪野が本心から自分を嫌ってくれたら、諦められると思ったのかもしれません。
孝雄もまだ高校生です、雪野に合わせてどこかで背伸びをしていたのでしょう。
押さえていていた思いが口から溢れてきました。
二人の未来を示唆するもの
ラストシーンで映された靴は、孝雄がはじめて作った雪野のための靴です。
春を思わせるやわらかな色合いの可愛らしい靴でしたが彼はあの靴を雪野に渡せたのでしょうか。
靴がつなぐ未来
一緒に歩く練習をしていた二人の道はわかれて、別々に遠くへと歩いていきます。
しかしどんなに遠くまで行っても、成長した二人ならまた戻ってこられます。
二人は雨の東屋で言葉にしない約束をしました。
その約束ははっきりと言葉にされませんでしたが、孝雄が雪野の靴を作るという約束です。
遠く離れても二人は靴の約束でつながっているのです。
孝雄はもっと成長して、ちゃんとした靴が作れるようになったら雪野に改めて告白するのかもしれません。
小説での結末
『小説 言の葉の庭』では、二人の行く末が完結しています。
孝雄20歳、雪野32歳の時に新宿御苑の東屋で靴を手渡すのです。
二人がその後結ばれたか否かは書かれておらず、観る者に解釈を任せる形になっています。
気になる方は映画とあわせて『小説 言の葉の庭』を読んでみてはいかがでしょう。
物語にさらに深みがでることでしょう。
結末は『君の名は。』に受け継がれている
本作は新海監督の『君の名は。』に繋がっています。
『君の名は。』で登場した古典教師のユキちゃんは本作品の雪野です。
雪野の実家は四国ですが、その後岐阜県の糸守町(架空の地)で古典教師を続けています。
『君の名は。』でも重要な誰そ彼という言葉を使っていました。
孝雄は出てきませんが、『君の名は。』の結末を考察すると雪野は東京へ来て孝雄と一緒に過ごしたのかもしれません。
「生き続けること」がテーマの作品
新海監督の作品は命がテーマになることが多いですが、本作品も生きることをテーマにしています。
どんな形であれ、生き続けることで未来は開けてくるのです。
自分の殻を破った雪野、夢の先に雪野を愛した孝雄には幸せになって欲しいものです。