また本作で対の存在ともいえる安室と日下部、どちらも「正義のためには手段を選ばない」というキャラクターで描かれています。
それぞれが「よいとするもの」のために動いた結果、お互いの協力者に個人的な幸せは訪れず、むしろ奪ってしまったといえます。
安室と日下部にはわずかな違いがあります。
安室は「犠牲を払っても正義を貫く」という立場に対し、日下部は「正義のためなら犠牲は仕方がない」という立場でした。
安室と日下部の違い
ほとんど同じようですが、安室にはすでに正義を守れる力があり、そのための「手段を選ばない」という選択もありました。
対して日下部は正義をまっとうする力が(少なくとも安室より)弱く、「手段を選ばない」という手段しかなかったのです。
つまり「正しいことを行うためには力がなくてはいけない」ということ。
そして「力は使い方を選ばなければいけない」という2つのメッセージが感じられます。
安室 透
本作はコナンの劇場版の中でもトップとなる興行収入を叩き出しています。
そして最も貢献したのがメインキャラクターといっても差し支えない「安室透」です。
彼のためにSNSを中心に興行収入を歴代トップにする運動が起こるほどの人気で、一部では「100億の男」と呼ばれています。
安室 透の魅力
黒の組織・バーボン、警察組織「ゼロ」の降谷零、毛利小五郎の弟子・安室透。
この「トリプルフェイス」といわれるキャラクターの多彩さとギャップに彼の魅力があります。
また、降谷零×安室透=古谷徹×アムロ・レイとなること。
それが「機動戦士ガンダム」の主人公と声優さんとのクロスオーバーを果たしています。
劇中終盤にはアムロを髣髴とさせるニュータイプ的な運転能力が見どころです。
美形なことも相まって女性を中心に高い人気を誇るのもうなずけます。
安室 透の「恋人」への想い
「安室さん彼女いるの?」という唐突なコナンの質問にドキリとした女性ファンも多数いたでしょう。
しかし彼は「僕の恋人はこの国さ」と言い切りました。
事実、命を賭す覚悟と汚れ役をいとわない覚悟を劇中で見せつけてくれます。
個人であれ集団であれ、「守る」というのはとても難しいもの。
どれだけ格好良くてもどれだけ正しくても守れなければ意味がない。
そのことを誰よりも理解している安室透だからこその言葉でしょう。
まとめ
難解といわれるストーリー構造を持ちながらも、王道的なアクションを組み合わせることに成功した「ゼロの執行人」。
各事件の関係性やテーマを理解したあとに鑑賞すると、奥深い魅力を味わうことができるでしょう。