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劇場版・名探偵コナンシリーズの中でも屈指の人気を誇る名作「ゼロの執行人」。
大作映画らしいゴージャスなアクションシーンが魅力である一方で、「ストーリーがよく分からなかった」という声もチラホラ。
並列的に複数の事件が絡み合い、専門用語も飛び交うため確かにやや難解ではありますが、その分深いメッセージが秘められています。
そこで、「ゼロの執行人」の事件を整理し、テーマについて考察していきましょう。
複雑に絡み合う現在と過去・二つの事件
「ゼロの執行人」では、劇中に起こる事件と過去に起こった事件が複雑に絡み合い、そのことが物語をより難解にしています。
過去の事件
NAZU不正アクセス事件の証拠となるデータを違法に入手するため、日下部が「協力者」である羽場に依頼した事件です。
正義感が強すぎて裁判官になる夢を絶たれた羽場。
正義のために行動できる「協力者」という立場になれたことはこの上ない喜びだったはずです。
そして日下部もまた羽場と同じくらい正義感の強い人物でした。
正義のためなら違法行為をしてもいいという考えは、この事件の時にはすでに彼らの頭の中にあったようです。
羽場が逮捕・自殺したことで公安警察の権力が大きすぎると判断した日下部。
公安検察の無力さと羽場を救えなかった悔しさの矛先を公安警察に向け、復讐を心に誓いました。
現在の事件
エッジ・オブ・オーシャン爆破から始まった一連の事件。
公安警察の信頼を失墜させることに加えて検察庁(特に公安部)に力を持たせることが目的でした。
NAZU不正アクセス事件と同じ手口でloTテロを起こしていることで2つの事件の関連性を匂わせています。
一般人を巻き込むのを避けるなど正義感をみせていた日下部。
ですが最後には警視庁爆破で多少の犠牲は仕方ないという考えを暴露しました。もはや正義とはいえません。
それに協力者も一般人ですから、羽場を巻き込んだ時点でその正義はもはや通用していないことに気付いていません。
日下部のいう正義とは何だったのでしょうか。自分が法を侵している時点でその主張は矛盾しています。
そして正義とは1つではありません。自分の立場から見る正義が絶対だという思い込み。
これは私達の生活の中でも起こりうることではないでしょうか。
協力者①羽場二三一
羽場二三一は日下部の協力者です。
安室の取り調べにより自殺したとされていた人物ですが、彼の死が発端となって今回の一連の事件が起こりました。
違法捜査をする場合は公安である日下部が自分で後始末するルールのはず。