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大ヒット映画『ノッティングヒルの恋人』で有名な名優ヒュー・グラントと脚本家リチャード・カーティスのコンビ第一作目の今作。
1930年からミュージカルや映画で繰り返し使用されている名曲『But not for me』から始まります。
劇中で使われている『But not for me』はイギリスの国民的アーティストであるエルトン・ジョンの演奏。
物語は「幸せな話はすべて結婚で終わる。でも僕には、まるで縁がない」と歌い上げ、伏線としても秀逸な働きをしています。
邦題は『フォー・ウェディング』ですが、原題は『Four Weddings and a Funeral(4つの結婚式と1つの葬式)』。
主人公が4組の結婚式と、友人の葬式を通して自らの「愛と結婚の在り方」を、ユーモアたっぷりの脚本で気づいていく物語です。
1つ目の結婚式
イギリスでの一般的な結婚式の様子を通して、物語の構成や登場人物の紹介をしている今作。
教科書的な構成でありながらも笑いを忘れない、脚本家リチャード・カーティスらしい話の作り方になっています。
1組目のカップルは式自体にフォーカスをして群像劇を進めるうえで重要な主要登場人物を丁寧に描くことに成功しています。
たとえば、新郎の付き添い役なのに指輪を忘れた主人公の狼狽ぶりを見て機転を利かせるジョン・ハナー演じるマシュー。
彼は人望もあり頭も性格もよく実にスマートな男性であることがすぐに理解できます。
俳優としての実力もさることながら、コマ割や演出であっという間に観る側に理解させるのは制作陣の実力をうかがわせます。
1つ目の結婚式が描いている愛と結婚の在り方
1組目は女性が優位で男性はそれに従うというような、結婚後の家庭の姿がありありと想像できるカップル。
結婚の理想と現実をしっかりと理解している落ち着いた印象のある新郎と、浮かれて飲み過ぎた新婦。
酔っぱらって誰彼かまわず「愛してる」と抱き着く新婦に対し、うんざりしている新郎。
ここでは新婦の醜態を描いてはいますが、結婚の真理を教えてくれています。
結婚をして日常をおくるというのは、隠しきれないそういった部分すらも夫婦ともに受け入れ、愛していくということを。
2つ目の結婚式
2組目は、見た目や情愛よりも体の相性で結ばれた愛すべきカップル。
1組目の結婚式で出会った二人は、新郎側は新婦を気にはしていたものの新婦側はまったく眼中にはなかった様子。
しかし、パーティー後半でこの二人の濃厚なキスシーンがあり、体の相性は合ってしまったんだなと観ている側の苦笑いを誘います。
2つ目の結婚式が始まると、この二人が結婚をすることが分かりコメディ要素たっぷりの結婚式が始まります。
2つ目の結婚式が描いている愛と結婚の在り方
恋や愛は、清く美しいものであるというのは青春時代の特権です。大人になってからの現実は多様性があるものです。
清く美しいものだけではなく、他人には理解し難い悲しいものやグロテスクなものまで実に幅広いものです。
この2組目のカップルは、偶然というか必然というか運命的に体の相性が良いことを知ってしまったんですね。
これはもはや好きとか愛とかを超えて、動物的な本能として結び付いたカップルであり清々しくもあります。