注目キーワード
  1. 映画
  2. シネマ
  3. 洋画
  4. 邦画

【フォー・ウェディング】ガレスの葬儀と4つの結婚式で描かれる愛と結婚の在り方を考察!主人公が出した結論は何を意味するのか

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B01N2PRP3V/cinema-notes-22

大ヒット映画『ノッティングヒルの恋人』で有名な名優ヒュー・グラントと脚本家リチャード・カーティスのコンビ第一作目の今作。

1930年からミュージカルや映画で繰り返し使用されている名曲『But not for me』から始まります。

劇中で使われている『But not for me』はイギリスの国民的アーティストであるエルトン・ジョンの演奏。

物語は「幸せな話はすべて結婚で終わる。でも僕には、まるで縁がない」と歌い上げ、伏線としても秀逸な働きをしています。

But Not For Me

邦題は『フォー・ウェディング』ですが、原題は『Four Weddings and a Funeral(4つの結婚式と1つの葬式)』。

主人公が4組の結婚式と、友人の葬式を通して自らの「愛と結婚の在り方」を、ユーモアたっぷりの脚本で気づいていく物語です。

1つ目の結婚式

 フォー・ウェディング [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

イギリスでの一般的な結婚式の様子を通して、物語の構成や登場人物の紹介をしている今作。

教科書的な構成でありながらも笑いを忘れない、脚本家リチャード・カーティスらしい話の作り方になっています。

1組目のカップルは式自体にフォーカスをして群像劇を進めるうえで重要な主要登場人物を丁寧に描くことに成功しています。

たとえば、新郎の付き添い役なのに指輪を忘れた主人公の狼狽ぶりを見て機転を利かせるジョン・ハナー演じるマシュー。

彼は人望もあり頭も性格もよく実にスマートな男性であることがすぐに理解できます。

俳優としての実力もさることながら、コマ割や演出であっという間に観る側に理解させるのは制作陣の実力をうかがわせます。

1つ目の結婚式が描いている愛と結婚の在り方

1組目は女性が優位で男性はそれに従うというような、結婚後の家庭の姿がありありと想像できるカップル。

結婚の理想と現実をしっかりと理解している落ち着いた印象のある新郎と、浮かれて飲み過ぎた新婦。

酔っぱらって誰彼かまわず「愛してる」と抱き着く新婦に対し、うんざりしている新郎。

ここでは新婦の醜態を描いてはいますが、結婚の真理を教えてくれています。

結婚をして日常をおくるというのは、隠しきれないそういった部分すらも夫婦ともに受け入れ、愛していくということを。

2つ目の結婚式

写真で巡る 世界の教会

2組目は、見た目や情愛よりも体の相性で結ばれた愛すべきカップル。

1組目の結婚式で出会った二人は、新郎側は新婦を気にはしていたものの新婦側はまったく眼中にはなかった様子。

しかし、パーティー後半でこの二人の濃厚なキスシーンがあり、体の相性は合ってしまったんだなと観ている側の苦笑いを誘います。

2つ目の結婚式が始まると、この二人が結婚をすることが分かりコメディ要素たっぷりの結婚式が始まります。

2つ目の結婚式が描いている愛と結婚の在り方

恋や愛は、清く美しいものであるというのは青春時代の特権です。大人になってからの現実は多様性があるものです。

清く美しいものだけではなく、他人には理解し難い悲しいものやグロテスクなものまで実に幅広いものです。

この2組目のカップルは、偶然というか必然というか運命的に体の相性が良いことを知ってしまったんですね。

これはもはや好きとか愛とかを超えて、動物的な本能として結び付いたカップルであり清々しくもあります。

始まりがどうであれ、このカップルからは「愛」というものの多様性と奥深さを教わることができるのではないでしょうか。

コメディ要素が溢れているのには理由がある

Mr.ビーン!VOL.1[AmazonDVDコレクション]

実は脚本家のリチャード・カーティスは『Mr.ビーン』の脚本家でもあり、2つ目の結婚式はイギリス的なユーモアに溢れています。

2つ目の結婚式の神父は『Mr.ビーン』シリーズで主人公を演じるローワン・アトキンソンで、かなりいい味をだしています。

この映画が公開された当時にイギリスと日本の両国では『Mr.ビーン』シリーズは人気を博していました。

ローワン・アトキンソンの特徴的な笑いの取り方が今作でも存分に発揮され、好きな人にとっては一度で二度おいしい作品です。

3つ目の結婚式

LFEEY 10x10フィート 聖パトリック大聖堂背景 イギリスランドマーク ダブリン 歴史的 クリスチャン クリスチャン 中世風 城 花 公園 写真 背景 旅行 写真ブース 小道具

3組目は愛のない装飾的結婚でした。

男性は女性の若さと美しさに、女性は男性の社会的地位や財力を求めての結婚であり、そこに愛情はないように感じます。

ただ、それは悪いことなのか…。

世の中にはこのような夫婦やカップルは数えきれないほどいますし、必ずしも破綻しているわけではありません。

現実的に、結婚すれば経済力は非常に重要な要素です。

「好き」とか「愛している」という気持ちを経済的困窮が壊すことも往々にしてあるのですから。

3つ目の結婚式が描いている愛と結婚の在り方

お互いが相手をステータスシンボルとして扱っており、映画を観ている側からすれば破綻することが容易に想像できるカップルでした。

結婚生活においては、経済力はあるに越したことはありませんが、それだけで成立するほど単純なモノでもありません。

脚本家のリチャード・カーティスはユーモアを交えたコメントを残しました。

「11年の間に65回の結婚式に出席していたことに気づき、これまでムダにした土曜日への腹いせに一気に書き上げた」

社会的にも認められている脚本家であるだけに、それだけ多くの結婚式に出ていれば様々な形のカップルに出会ったことでしょう。

その多くの結婚式に参加して辿り着いた彼の幸せの定義には、このような愛や結婚の在り方はなかったのかもしれません。

ガレスの葬儀

ブリテン/バークリー:オーデンの詩による歌曲集

冒頭でふれたこの映画の題名ですが、原題は『Four Weddings and a Funeral(4つの結婚式と1つの葬式)』。

この映画で最も大切で、気づきをもたらせてくれるのがこのガレスの葬儀のシーンです。

ゲイのカップルであるガレスとマシューは、この物語の中で最も成熟した幸せを感じさせるカップルとして描かれていました。

映画が製作された1990年代初頭のイギリスでは同性の結婚は認められてはいませんでした。

一癖も二癖もある他のカップルの結婚式に参列する二人を描くことで、社会に対するメッセージを発信していたのかもしれません。

1つ目の結婚式での悲しい伏線

1つ目の結婚式の中でガレスがパーティーで踊り狂うシーンがありました。

マシューは、そんな様子を見ながら「ガレスはダンスで命を落とさないか心配だ」と冗談交じりにいうのです。

これはペーソスを交えたユーモアであり、悲しい伏線にもなっていたのです。

「愛とはなにか」愛と結婚の在り方を気づかせてくれたガレスの葬儀

マシューが弔辞でW.H.Auden(ウィスタン・ヒュー・オーデン)の詩を読み上げるシーンは、この映画の中で特別な意味があります。

葬儀であると同時に、彼らの愛の結びつきを確認する儀式、つまり結婚式にもなっているのではないでしょうか。

同じく同性愛者であり20世紀最大の詩人とみなされているオーデンの詩を朗読することで、ガレスへの愛の深さを表現していました。

式に先立ち、周囲からガレスがどのようにみられていたのかを聞いてそれを紹介するシーンがありました。

それは、彼の人生には真実の姿を知る友人と、深い結びつきをもつ自分がいたことを、彼の魂に届けるためだったのかもしれません。

この葬儀をきっかけとして主人公のチャールズは、自分の「愛と結婚の在り方」について深く考察し始めます。

チャールズは完璧な二人でなければ結婚はしない方が良いし、「真実の愛を待つのは無駄かもしれない」と思うようになったのです。

4つ目の結婚式

Four weddings and a funeral―総合英語教材『フォー・ウェディング』

4組目は主人公チャールズと元彼女のヘンリエッタの復縁カップル。

ガレスの死をきっかけに自分自身の「愛と結婚の在り方」について答えを出しかけていたチャールズ。

しかし、ボタンをどう掛け違えたのかヘンリエッタとの結婚に歩を進めます。

4つ目の結婚式が描いている愛と結婚の在り方

完璧な愛を求めていたはずのチャールズは、完全に自分を見失います。

結婚をしたいと思った相手が富豪と結婚をしてしまったことと、友人の死。

そんな出来事から、結婚を迫られて別れを切り出した相手との愛のない結婚に踏み切ろうとします。

結婚式の当日、式が始まろうとしているときに失恋をした相手が離婚をしたことを知り、激しく動揺をするチャールズ。

ここまで煮え切らない優柔不断でズルい男もなかなかいませんが、しかし、これこそが彼なりの結婚に対する誠意のようです。

神父の前で結婚の誓いをする儀式で宣誓をせずに拳で殴られ、完全にアウトのタイミングで「愛と結婚の在り方」に気づきました

チャールズは「結婚」という形式に自分が不向きであることにようやく気づいたのです。

チャールズが出した結論は何を意味するのか

ジャズ・フォー・ウェディング

「好きな人と、結婚する人。それは同じ人なのか?」

結婚を考えている人は、この問いかけに悩むこともあるのではないでしょうか。

もしくは、心の中で「この人が、本当に運命の人なのだろうか」とマリッジブルーに陥る。

この映画を観ても愛や結婚の在り方の答えがあるわけではありません。

しかし、心の中に何かが残ったのなら、それはあなたなりの「愛や結婚の在り方へのヒント」になるのかもしれません。

チャールズの優柔不断ぶりが、人生において大切な選択をするときには自分の気持ちに正直になるべきだと教えてくれたのです。

今作が伝えている、愛と結婚の在り方

今作が伝えている「愛と結婚の在り方」には決まった正解があるわけではなく、それぞれにとっての適切な形があるということです。

映画を観て「こんな優柔不断な男は許せない!」、「こんな女のどこが良いの!?」なんて感情的になるのも楽しみ方のひとつです。

一方で、感情から少し距離を置いてみると人それぞれの「愛や結婚の在り方」があることに気づきます。

この映画は、1つの伝統的な正解(現時点での常識)であっても必ずしも幸せになるわけではないと問題提起しています。

そして、世の中に寛容の精神を持ってもらいたいというメッセージを届けているのではないでしょうか。