未来のいつかのために行動をするのではなく、すべてがつながっていることを知ってどの時間も大切にする。

SF作品でありながら、人生や生き方を考えさせられる点が本作の魅力ともなっています。

各場面に隠されたループを示すもの

映画の場面展開がループ構造となっていることについて言及しましたが、ループ構造になっているのはそれだけではありません。

知的生命体が使う文字もその一つで、全ての文字は円環(＝ループ)の形状です。

そして劇中で何度も強調されたルイーズの娘の名前「ハンナ(HANNAH)」も回文になっており、ループ構造といえるでしょう。

原作との違い

原作とココが違う！

『メッセージ』はアメリカのSF作家テッド・チャンによる短編小説『あなたの人生の物語』を原作としています。

しかし、映画版では原作にない描写がいくつかありますのでご紹介します。

1つ目は、中国が宇宙船へ攻撃を仕掛けようとするシーンです。

映画では、ルイーズがはっきりと未来を見ることで中国軍の指揮官を止めることができました。

今作における最後の山場となりますが、このシーンは原作にありません。

2つ目は、アメリカ軍の若い軍人の暴発シーンです。

映画では、知的生命体に対し慎重な姿勢しか見せない上層部に業を煮やした若い軍人が宇宙船に爆弾を仕掛けます。

交流の断絶、更には交戦に発展するのではと肝を冷やすシーンですが、こちらも原作にはありません。

原作では、主人公と知的生命体との緻密なやり取りが作品の核です。

原作は、SF作品というより作者の「言語」や「時間」に関する考察がわかる作品となっています。

邦題と英題に込められた意味

最後に邦題と英題について触れたいと思います。

昨今の映画では、英題を単純に翻訳して邦題のタイトルとすることはほとんどなくなってきました。今作も同様です。

英題は『ARRIVAL(訳:到来)』であり、物語の起点となる宇宙船の到来を意味しています。

ルイーズも冒頭で「私の人生観を変えたのは彼らの出現だった」と語っています。

邦題を『メッセージ』としたのは、ルイーズが二つのメッセージを受けとったことが物語の鍵だと表しているからでしょう。

一つは、ルイーズが知的生命体のメッセージ(＝彼らが地球に来た意図)、二つ目は未来からのメッセージです。

物語の時間軸や各所に挿入される場面が理解できなかった方は、ぜひ今回の記事を参考にもう一度観てください。

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